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2015.10.24
『人生が変わる読書術』吉田裕子著(エイ出版社)を読みました。
著者は三重県四日市高校から東京大学文科3類に現役合格した人です。教養学部超域文化科学科を学科首席で卒業。現在は大学受験予備校や私立高校で古文・現代文を教えつつ、大人向けの古典講座や老人ホームでの朗読教室を開催しているとか。
表紙には、こんな言葉が・・・・・・
本書には「本物の知識と教養がグングン身に付く」というサブタイトルがついており、表紙には「こんな悩みの人におすすめ」として、以下のように書かれています。
「本を読んでもなかなか身につかない/読んでも10分ほどで飽きてしまう/1回読んだだけでは理解できない/読むのが遅い/何から読んでいいかわからない/つい同じような本を買ってしまう/どうやって読んでいいかわからない/読んでない本が増えていく一方でプレッシャーになっている」「アナタの本の読み方、間違っていませんか?」
本書の「目次」は「知識と教養を身につけることは人間力を高めることです。仕事だけではなく、普段の生活でも読書で得た知識はさまざまな場面で役に立つことがあるでしょう。アナタの人生をより豊かにする読書の方法を紹介していきます」と書かれ、以下のような構成になっています。
「INTRODUCTION」
第1章 読書はコストパフォーマンス最大の学びだ
第2章 読書に関する7つの誤解
第3章 読書の技法
第4章 読書は一冊から無限に展開せよ
第5章 本に出会う場
第6章 古典的名著で人間的な深みを増せ
第7章 これだけは読みたい大人の教養書カタログ
「INTRODUCTION」の「読書が人生を変える理由」では、著者は「読書にはいろいろな効果があります。1冊でさまざまな効果が得られる名著も存在しますが、基本的には、あなたが特に何を求めているかによって、本の選び方も、読み方も、変わってくると思った方がよいでしょう」と述べ、以下のような方程式を示します。
「情報収集」×「自己研鑽」×「人生充実」=仕事もライフスタイルもうまくいく人生の心得がわかる
また「読書は最強の情報収集法」では、「本だからこそできることがたくさんある」として、以下のようなポイントを列記します。
■本にしか書かれていない情報がある
■著者・編集者のフィルターで抽出された重要情報がつまっている
■書き込んだり、切り取ったりしやすい
■複数の本を読み比べて比較吟味しやすい
■講義や動画よりもスピーディーに効率良く情報収集ができる
■読みたいときに読みたい場所で読める
■偶然の出会いや副産物が生じやすい
これらのポイントをあげた上で、著者は以下のように述べます。
「自分の感想を書き込んだり、複数の本を見比べたりしやすいのは、『紙の本ならでは』のメリットです。一方、時間や場所にしばられないという読書の強みは、電子書籍と組み合わせることにより、さらに強化されます」
「読書は最良の自己研鑽法」では、「読書のインプットがあなたのアウトプットを作る」として、以下のようなポイントを紹介しています。
■語彙力・表現力を強化できる
■基礎知識を培うことで、思考力が生まれる
■じっくりと向き合い、納得の行くまで消化できる
■一流の人の思考法や行動パターンを真似することができる
■他人の人生や体験を自分の学びとして吸収できる
■自分に必要なことを主体的に学ぶことができる
これらのポイントをあげた上で、著者は以下のように述べます。
「本には、他人が数年、数十年をかけてつかんだ学びが濃縮されています。目標や目的にぴったりの本を探し、積極的な読みを通じて吸収しましょう。現在読んでいる本が、数ヶ月後、数年後の未来のあなたをつくります」
さらに「読書は最上の人生充実法」では、「読書で人生の幅を広げ、深みを増す」として、以下のようなポイントを紹介しています。
■本を読むことで自分を知ることができる
■千年、二千年のときを超える古典からも学べる
■座右の銘が見付かる
■視野を広げ、感受性を磨くことができる
■酸いも甘いも知る、器の大きな人間になれる
■自分の人生のとらえ方が変わる
これらのポイントをあげた上で、著者は以下のように述べます。
「実際には体験し得ないことを疑似体験したり、身近にはいないような人間に刺激を受けたり。本には出会いが溢れています。そして、本の内容にどのように反応するかを観察すれば、自分自身を理解する機会にもなります」
以上、「INTRODUCTION」のサワリを紹介しただけでも、本書のテイストがよくわかると思います。東京大学文科3類に現役合格し、教養学部超域文化科学科を学科首席で卒業しただけあって、著者は頭脳明晰な人であると思いました。本書も、非常にシステマティックに構成されています。読書についての考え方はわたしのそれと完全に一致するわけではありませんが、共感する部分は多いです。
読書が好きでたまらない人、逆になかなか本が読めなくて困っている人。その両方にとって有意義な内容だと思います。高校生や大学生の読書入門としても最適ではないでしょうか。