No.0899 人間学・ホスピタリティ 『あなたの夢はなんですか?2僕の夢は人間になることです。』 池間哲郎著(致知出版社)

2014.03.27

 『あなたの夢はなんですか?2 僕の夢は人間になることです。』池間哲郎著(致知出版社)を再読しました。
 20万人の子どもたちが涙し、変わったといわれる感動本『あなたの夢はなんですか? 私の夢は大人になるまで生きることです。』(致知出版社)の続編です。

 著者が代表理事を務めるNPO法人アジアチャイルドサポートは、モンゴルのダルハンという都市で児童保護施設の管理運営を行っている。そこで暮らす11歳の少年が書いた文章が著者の元に届きました。それは、「僕は人間ではない。」というショッキングな書き出しで始まっていました。

 牛や馬といった家畜にも野生の狼や鳥にも両親がいるが、自分には父も母もいない。だから自分は人間ではなく、家畜や動物にも劣る存在だ。もし神様が実在するならば、自分に両親を授けてほしいと訴えるのです。最後は、「両親の愛に包まれることができるならば僕は人間になれる。僕の夢は人間になることです。」と締めくくられていました。

 著者によるモンゴルのマンホールチルドレン支援は1999年にまでさかのぼります。以来、活動の中でふれあった子どもたちは、みんな大きな悲しみを背負っていたといいます。子どもたちの生い立ちや境遇は、言葉や文字で表すことができないほど悲惨でした。でも彼らは、どんなに苦しくて、辛くても、決して笑顔を失わずに、必死に生きてきました。生きることを諦めずに、「今日一日を精一杯に」生きてきたのです。

 本書を読めば、モンゴルの貧困地域の子どもたちが、日本の子どもたちだけでなく、大人たちをも勇気づけてくれます。物質的豊かさの中で自殺大国となりつつある日本。すべての日本人は、本書から命の尊さと生きる意味を学ぶべきでしょう。なお、本書は『面白いぞ人間学』(致知出版社)でも取り上げています。

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