No.1831 オカルト・陰謀 『昭和・平成オカルト研究読本』 ASIOS編著(CYZO)

2020.02.15

『昭和・平成オカルト研究読本』ASIOS編著(CYZO)を読みました。ASIOSとは、2007年に日本で設立された超常現象などを懐疑的に調査していく団体で、名称は「Association for Skeptical Investigation of Supernatural」(超常現象の懐疑的調査のための会)の略です。海外の団体とも交流を持ち、英語圏への情報発信も行うそうです。メンバーは超常現象の話題が好きで、事実や真相に強い興味があり、手間をかけた懐疑的な調査を行える少数の人材によって構成されているとか。

本書の帯

本書には、昭和を連想させる部屋にエイリアンが寝そべってテレビを観ているジオラマの写真が使われています。ちゃぶ台の上にはミカン、カップヌードル、パック牛乳、タバコ&灰皿、畳の上には掃除機と扇風機とラジオ、窓の外にはUFOが飛んでいます。そして、「超能力、心霊、占い、予言、奇跡、UFO,UMA,超古代文明、古史古伝、都市伝説……昭和と平成のオカルトを検証し、真相に迫る!」と書かれています。

本書の帯の裏

帯の裏には、「昭和・平成のオカルトとは何だったのか? その源流を探り、ブームや事件を振り返り、意味を論じる。」「ASIOS会員以外の寄稿者……隈元浩彦、塚田穂高、長山靖生、廣田龍平、藤倉善郎、横山茂雄(インタビュー)、有江富夫、中根ユウサク、新田五郎、幕張本郷猛、山津寿丸」と書かれています。

本書の「目次」は、以下のようになっています。
はじめに(ASIOS代表 本城達也)
第1章 後世に影響を与えたオカルトの源流
人々の願望を飲み込み、様々な素材を取り込んだ『竹内文書』(長山靖生)
日猶同祖論の誕生と系譜(藤野七穂)
「日本ピラミッド」説の誕生と系譜(藤野七穂)
CBA事件を起こした宇宙友好協会(CBA)(羽仁礼)
何度もよみがえっては人を騙し続けるM資金詐欺(隈元浩彦)
第2章 昭和・平成のオカルトブームを振り返る
昭和・平成の代に現れたUMAたち(横山雅司)
超古代文明と失われた大陸ブーム(藤野七穂)
スプーン曲げブームと二人の重要人物(本城達也)
水子供養ブームを考える(ナカイサヤカ)
日本のノストラダムスブームを振り返る(山津寿丸)
心霊写真ブームと心霊写真本(本城達也)
盛り上がり、定着し、沈静化した昭和・平成のUFOブーム(羽仁礼)
なぜ六星占術の本は売れたのか?その理由と仕組みを考察する(本城達也)
第3章 昭和・平成のオカルト事件
大本事件―終末論を唱えた大本は徹底的に弾圧された
(長山靖生)
「水からガソリン」と「日本的製鉄法」
――前戦中の日本を騒がせた二大ニセ科学事件(山本弘)
天津教弾圧事件(原田実)
大災害発生を信じた集団と報じられ、騒動になったCBA事件(羽仁礼)
オカルトと科学が混在する悲劇、オウム真理教事件
(藤倉善郎)
巨額宗教詐欺事件を起こした法の華三法行(藤倉善郎)
自己啓発セミナーが宗教化したライフスペース事件
(藤倉善郎)
岐阜県富加町の町営住宅で起きたポルターガイスト事件
(加門正一)
第4章 昭和・平成のオカルトを検証し、論じる
超能力捜査番組はなぜ続いたのか(本城達也)
白装束のキャラバン隊を組み、
騒動を巻き起こしたパナウェーブ研究所(蒲田典弘)
オカルトとニセ科学――霊感商法や陰謀論と関係するものも(蒲田典弘)
オカルトと民俗学――その困難な関係性(廣田龍平)
幸福の科学の「霊言」はどこまで突っ走るのか(藤倉善郎)
テレビ、喫茶店、世界の終わり。
日本のコンタクティー・ムーブメントと想像力(秋月朗芳)
第5章 昭和・平成のオカルトを彩ったテレビ番組、漫画・雑誌、出版社、オカルト研究会、人物伝
昭和・平成のオカルト番組(本城達也)
昭和・平成のオカルトを彩った漫画(新田五郎)
●オカルトの本を多く出版する出版社(藤野七穂・有江富夫)
国教宣明団/有信堂高文社/霞ヶ関書房/二見書房/大陸書房/新人物往来社/ たま出版/工作舎/八幡書店/角川春樹事務所/ヒカルランド
●オカルトの本も出版している総合出版社(有江富夫)
新潮社/講談社/早川書房/KADOKAWA/学研プラス/徳間書店
●昭和・平成のオカルト雑誌の歴史をたどる
(長山靖生・中根ユウサク・藤野七穂)
『猟奇画報』/『猟奇』/『風俗草紙』/『別冊実話特報』/『世界の秘境シリーズ』/『奇談クラブ』/『不思議な雑誌』/『歴史読本』/『パイデイア』/『牧神』/『幻想と怪奇』/『ユリイカ』/『オカルト時代』/『地球ロマン』/『迷宮』/『GS たのしい知識』/『季刊 邪馬台国』/『コズモUFOと宇宙』/『トワイライトゾーンUFO と宇宙』/『ワンダーライフ』/『Az』/『ボーダーランド』/『ムー』
●オカルト研究団体
心霊研究団体からオカルト現象全般を研究する団体まで
(羽仁礼)
UFOを扱った代表的な研究団体(有江富夫)
昭和・平成オカルト人物伝(藤野七穂・長山靖生・有江富夫・塚田穂高・山津寿丸・原田実・幕張本郷猛・羽仁礼・本城達也)
酒井勝軍/竹内巨麿/楢崎皐月/平野威馬雄/岡田光玉/黒沼健/佐治芳彦/古田武彦/中岡俊哉/五島勉氏/宜保愛子/齋藤守弘/横尾忠則氏/康芳夫氏/細木数子氏/佐藤有文/高坂和導/秋山眞人氏/江原啓之氏/
[インタビュー]井村宏次さんの思い出横山茂雄氏に聞く
昭和・平成の日本オカルト年表(本城達也)

「はじめに」で、ASIOS代表の本城達也氏は述べます。
「本書で扱うのは、昭和と平成のオカルトです。ここでいう『オカルト』とは、常識では説明がつかないとされる現象や能力、存在、出来事などを指しています。具体的には、超能力、心霊、占い、予言、奇跡、UFO(未確認飛行物体という意味だけでなく、宇宙人の乗り物という意味も含む)、UMA(謎の未確認動物)、さらには超古代文明、古史古伝、都市伝説……などなど」

『UFO事件クロニクル』と『UMA事件クロニクル』

このたびの改元にあたり、本書では昭和と平成のオカルトを振り返りつつ、考察を深めています。約100年の間に起きた日本のオカルトに絞っているそうですが、それでもテーマは広く、ページ数は464ページになっています。中身は濃いですが、読み方がわかりにくい漢字にはルビを振っており、基本的な用語にも文中で簡単な解説を加えています。オカルト初心者でも安心して読める内容となっています。各項目の説明は小事典のようですが、一条真也の読書館『UFO事件クロニクル』『UMA事件クロニクル』で紹介したASIOSの本ともども、少しづつ読み進んでいくのも楽しいでしょう。わたしは1日で読みましたけど。

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