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2011.02.17
『渋沢栄一 男の器量を磨く生き方』渡部昇一著(致知出版社)を再読しました。
渋沢栄一は、わたしの尊敬する人物の1人です。
かのドラッカーが最も高く評価した経営者でもありました。
「日本資本主義の父」として、歴史のその名を残しています。
その生涯で関与した企業や銀行の数は500以上と言われます。
「論語と算盤」で生きる
渋沢栄一は武士の出身でしたが、民間人として日本に仕えたいという志を最後まで崩しませんでした。彼が常に口にしていたのが「論語と算盤」という言葉でした。
彼は経済と道徳とは両立しうると考えていました。
そして彼にとっての道徳とは『論語』の別名だったのです。
ですから、常々「論語と算盤」と言い、実際に『論語』を徹底的に研究して、その教えを実業の中で実践していきました。
不正な金は一切儲けず、持っていれば儲かるとわかっている株でも、他に事業がやりたいという者がいれば、いくらでも分けてやりました。逆に、事業がうまく行かずに出資者が逃げ出すようなときは、渋沢はその株を引き受けて一人で事業を支え続け、事業が上向き出すと、惜しげもなく、その株を元の株主に返してやりました。
「たくさんの人が株を持つのはいいことだ」と信じていたからです。
そういう寛大な人であったため、結局、自分自身には財は残らず、岩崎弥太郎のような財閥も作りませんでした。
でも、日本の資本主義を育てた最大の功労者は、渋沢栄一なのです。
著者は、「今、日本の産業界は決して渋沢栄一の望んでいるような方向には進んでいないようにも感じられる。渋沢栄一が今生きていたら、どういうアドバイスをするだろうか」と書いています。まったく同感です。