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No.0391 宗教・精神世界 『ブッダの学校』 造事務所編(佼成出版社)
2011.07.23
『ブッダの学校』造事務所編(佼成出版社)を読みました。
現在、ブッダ本がブームということで、多くの関連書籍が出ています。『ブッダの考え方』(中経の文庫)を執筆しているわたしは、何冊かを読んでみました。その中で一番わかりやすく、編集に工夫がなされていたのが本書でした。
仏教超入門
編著者の造事務所は、現代日本を代表する編集プロダクションです。これまで、『世界の神々がよくわかる本』や『「天使」と「悪魔」がよくわかる本』(ともにPHP文庫)などのベストセラーをたくさん世に送り出してきました。
「出版界の木下藤吉郎」こと堀川尚樹さんが副社長を務め、現場の最高責任者も兼ねています。わたしは、これまで堀川さんと一緒に色々な本を作ってきました。
最初は『100文字でわかる世界の宗教』(ベスト新書)でした。今でこそ監修書も増えてきましたが、この本は、わたしが初めて監修した本でした。本の監修をするのは偉い学者の方ばかりだと思っていたわたしは、「監修者」という響きが何だか嬉しくて、見本を池袋の造事務所まで取りに来たことをおぼえています。
その次は、『「あの人らしかったね」といわれる 自分なりのお別れ〈お葬式〉』(扶桑社)という実用書を、他の造事務所のスタッフさんと作りました。そして、再び堀川さんと一緒に『開運!パワースポット「神社」へ行こう』(PHP文庫)を作りました。
それから、『よくわかる伝説の「聖地・幻想世界」事典』『よくわかる「世界の怪人」事典』(ともに廣済堂文庫)、『本当は面白い世界の神々』(双葉社)などを作りました。いずれも、わたしは監修者として関わりましたが、とても楽しい仕事でした。
造事務所には、「基本三原則」というものがあります。以下の通りです。
1.わかりやすく! ~自分が、わからなければ、人(読者)がわかるはずがない
2.たのしく! ~自分が、たのしくなければ、人(読者)がたのしめるはずがない
3.正確に! ~数字、固有名詞の意味は致命的
本書『ブッダの学校』にも、この基本三原則が存分に生かされています。とにかく、これほどわかりやすい仏教の解説書は初めて読みました。「仏教超入門」というサブタイトルは伊達ではありません。
本書の見返しには、「さあ、あなたもキラキラの1年生!」と書かれ、「『ブッダの学校』の3つのよろこび」という説明があります。それによると、本書では、仏教の基本のキホンを、小学校の6科目に分類して、やさしく解説しています。特に、以下の3つのポイントに重点を置いています。
◎その1(臨場感あふれる授業形式の文章で、ブッダの教えがよくわかる!)
◎その2(イラストや地図がもりだくさんで、仏教の深~い世界が目でわかる!)
◎その3(給食、昼休み、クラブ紹介など、おまけ知識も多数掲載!)
ユニークな教師陣
本書の最大の特色は、特定の教師による授業スタイルです。ブッダの学校の校長先生はもちろんゴータマ・ブッダですが、その教師陣は・・・・・。
1時間目の「国語」は、玄奘三蔵先生。
2時間目の「算数」は、一休宗純先生。
3時間目の「社会」は、聖徳太子先生。
4時間目の「体育」は、達磨大師先生。
5時間目の「理科」は、栄西先生。
6時間目の「美術」は、運慶・快慶先生。
・・・・・といった夢のような顔ぶれなのです。
ブッダの学校には、以下の5つの「校則」があります。
1.生き物を殺してはいけません
2.人のものを盗んではいけません
3.みだらなことをしてはいけません
4.ウソをついてはいけません
5.お酒を飲んではいけません
いわゆる仏教の「五戒」と呼ばれる内容ですが、こうやって小学校の校則にしてしまえば、なんとも楽しく頭に入りますね。この他にも、「給食」として精進料理を紹介したり、「休み時間」にはキリスト学校やイスラム学校といった他校紹介=他宗教の紹介をしたりと、とにかく本書には工夫が満ちあふれています。これまで日本で出版された本の中で、最も仏教を平易に解説した1冊でしょう。
わたしも本書に負けないように、『ブッダの考え方』をわかりやすく書くつもりです。ちなみに、造事務所さんには『世界一わかりすい論語の授業』(PHP文庫)の編集協力をお願いしており、こちらも楽しみです。
本書の版元である佼成出版社さんは、言うまでもなく、仏教に関する出版の名門です。このたび、わたしは同社からグリーフケアの本を書き下ろすことになりました。東日本大震災で大切な家族を亡くした方々へ向けてのメッセージ・ブック執筆の依頼が来たのです。タイトルは、『生き残ったあなたへ』(仮題)です。
いわば、『愛する人を亡くした人へ』(現代書林)の東日本大震災版ですが、被災者の方々の悲しみが少しでも癒えるように祈りを込めて書くつもりです。