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No.0600 SF・ミステリー 『傍聞き』 長岡弘樹著(双葉文庫)
2012.05.11
『傍聞き』長岡弘樹著(双葉文庫)を読みました。
いま、非常に話題になっているミステリー短編集です。
「おすすめ文庫王国」2012本の雑誌増刊の国内ミステリー部門でダントツの第1位だそうです。帯には、「この20年間で最高の傑作! 仕掛けと感動の珠玉短編を堪能せよ」と書かれています。正直言って、「この20年間で最高の傑作!」というのは大袈裟かもしれませんが、たしかに面白い短編集でした。
とても読みやすくて、わたしはガソリンスタンドで洗車をしている間の時間で読了することができました。トリックというかオチが命ですので、ここで詳しい内容は書けません。
表紙カバーの裏には、以下のように本書の内容が紹介されています。
「患者の搬送を避ける救急隊員の事情が胸に迫る『迷走』。
娘の不可解な行動に悩む女性刑事が、我が子の意図に心揺さぶられる『傍聞き』。
女性の自宅を鎮火中に、消防士のとった行為が意想外な『899』。
元受刑者の揺れる気持ちが切ない『迷い箱』。
まったく予想のつかない展開と、人間ドラマが見事に融合した4編。
表題作で08年日本推理作家協会賞短編部門受賞!」
4つの短編の主人公は、いずれも何らかのプロフェッショナルです。「迷走」は救命救急士、「傍聞き」は所轄の刑事、「899」は消防士、「迷い箱」は更正保護施設の施設長という具合です。それぞれ短い作品ながら、作者がその職業のことを調べていることに感心しました。
また、どの作品にも派手さはありませんが、心あたたまる話ばかりです。「人情噺」とでもいうのか、どれも最後は人間への愛情が感じられて、救われる気がしました。
アマゾンなどのレビューを見ると、「期待はずれ」とか「買って損した」みたいなマイナス・レビューも多いですが、これは帯のコピーなどの煽りで期待感を高め過ぎたせいではないでしょうか。その意味では、作者が気の毒だと思いましたね。
わたしは、良質のミステリー短編集として面白く読みました。