No.0794 コミック | プロレス・格闘技・武道 『プロレス地獄変』 原田久仁信著(宝島社)

2013.09.17

『プロレス地獄変』原田久仁信著(宝島社)を読みました。
これまで宝島社から刊行されていたプロレスMOOKに掲載されていたコミックを1巻にまとめたもので、全部で450ページ近くあります。わたしは、著者の大ファンなので本書の刊行を大いに喜び、迷わず購入しました。表紙には、アントニオ猪木、長州力、武藤敬司、アンドレ・ザ・ジャイアント、スタン・ハンセン、ハルク・ホーガンらのイラストが著者によって描かれています。これは、たまらん! 本書には、以下の14の作品が収められています。

実録WJ「地獄のど真ん中」前編
実録WJ「地獄のど真ん中」後編
渕正信&G・馬場「ザ・ジャイアントワールド」
ノア巨額詐欺事件の真相「だまされてODAWARA」
マイティ井上「ノア夢十夜」
北朝鮮・平和の祭典「平壌の冷たい夏」
橋本真也夫人の回想「ある愛の詩」
ドキュメントFEG破産「Kの悲劇」
ターザン山本「放蕩息子の帰還」
内外タイムス倒産!「ゴマシオ百年の孤独」
さすらいのヒットマン「阿修羅・原物語」
悲しみの大巨人「アンドレ・ザ・ジャイアント伝説」
アンドレVSハンセン頂上対決「”田コロ伝説”の舞台裏」
はぐれ国際軍団「ラッシャー木村 男の涙酒」

また、本書には以下の興味深いコラムが5本収録されています。

コラム(1)「馬場全日本」42年目の崩壊劇
コラム(2)死屍累々の格闘技界に見えぬ「光明」
コラム(3)ターザン山本に見る「悪名は無名に勝る」
コラム(4)共感覚える「阿修羅・原」の清濁
コラム(5)アンドレ「前田潰し」の真意

どれもこれも、プロレスが大好きだったわたしにとっては、たまらないエピソードが満載で興味深いのですが、やはり著者の独特の絵柄が素晴らしいです。こたえられません。これ1冊あれば、何杯でもお酒が飲めますわ。(苦笑)

今では完全に人気が低迷しているプロレス界ですが、著者の作品を読んでいると、ものすごくプロレスが愛おしくなって観戦したくなってきます。著者の原田久仁信氏といえば、なんといっても『プロレス スーパースター列伝』が有名です。あのコミック全巻、何度読み返したかわかりません。特に、ハンセン、ブロディ、タイガーマスクのエピソードなどが好きでした。

それから、原田氏といえば忘れられないのが、梶原一騎の人生を描いた『男の星座』です。基本的には「劇画の神様」と呼ばれた梶原一騎の伝記コミックなのですが、プロレス界や空手界の裏話も満載です。そして、力道山、木村政彦、大山倍達という戦後日本格闘史に燦然と輝く3つの巨星の活躍と人となりが描かれています。特に、力道山と木村政彦が一騎打ちをした「昭和巌流島の対決」の描写がスリリングで、多くの読者を魅了しました。

力道山VS木村といえば、『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』という本が大きな話題になりました。増田俊也氏の渾身のノンフィクションですが、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞しています。2012年5月、増田氏はtwitterで「原田久仁信氏がこの作品を漫画化する」と発表。漫画のタイトルは「KIMURA」でした。「週刊大衆」で連載がスタートし、2013年秋に第1巻・第2巻が双葉社から同時発売されるそうです。『男の星座』の原田氏が『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』を描くとは!  あいやー、これは、ムチャクチャ楽しみですね。

ところで、わたしは小倉のサンレー本社近くにあるコンビニ「ポプラ」で本書を見つけ、購入しました。最近、コンビニ本の中から面白いプロレス関連書がたくさん出ています。たとえば 『プロレス最強は誰だ?』 『プロレス最強の名勝負はコレだ!』 (竹書房)、 『流血!プロレス大事変50の真相』 (双葉社)などです。いずれも写真やデータが満載で、価格は500円と非常にお得感があります。これらのコンビニ本を枕元に置いて、ときどき眠れない夜などにパラパラとページを繰っているのですが、なつかしいプロレス全盛期のことが思い出され、なんだか寂しい気持ちになってきます。わたしは、プロレスというジャンルを愛する者として、その復活を心から願っています。甦れ、闘いのワンダーランド!!

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