No.0967 人生・仕事 | 人間学・ホスピタリティ 『森信三 教師のための一日一言』 寺田一清編(致知出版社)

2014.08.17

 『森信三 教師のための一日一語』寺田一清編(致知出版社)を再読しました。
 哲人教育者として知られる森信三の「一日一語」です。主に、小・中学校の先生に向けたメッセージが集められています。

 わたしには二人の娘がいます。長女は北九州市にある小中高一貫教育のカトリック校を卒業し、次女はまだ通っています。その学校は立腰教育を導入しており、子どもの姿勢が良くなり、健康にも良いということで親として喜んでいます。この立腰教育の提唱者こそ森信三なのです。

 彼は、「人間教育の最大眼目は、教師自身が二六時中腰骨をたて通すこと。同時に教え子たちに、そのタネ蒔きをすること」と述べています。

 なぜかというと、「われわれ人間が身・心相即的存在だということからして、われわれ自身がミスからの主体性を確立するためには、何よりもまず、腰骨を確立することから始めねばならぬ」からです。

 この森信三のことを、本書の編者である寺田一清氏は「国民教育者の師父」「日本的哲学の継承者」「生き方宗の祖師」と表現しています。

 本書には、「学習指導」「学級担任」「同和教育」「修学旅行」「職員会議」「同僚関係」「PTAの役員」などなど、若い教師が現実に直面する諸問題への答がずらりと並んでいます。本書は、教師のための実務の書でもあるのです。

 最後に読書についての一語を紹介しましょう。

 「人間は、少なくともわれわれ教師の場合には、その人が書物を読まなくなったら、もうその人は、精神的にはすでに死んだ人と見なしてもよいということです。」

 別に教師に限らず、わたしのような子どもを持つ父兄もこの言葉を厳粛に受け止め、読みたい本です。

 なお、本書は『面白いぞ人間学』(致知出版社)でも取り上げています。

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