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No.0983 人生・仕事 | 人間学・ホスピタリティ 『ただいま100歳』 曻地三郎著(致知出版社)
2014.09.15
9月15日は「敬老の日」です。14日、総務省は「敬老の日」に合わせて15日現在の高齢者の人口推計を公表しました。それによれば、65歳以上の高齢者人口が3296万人(総人口の25・9%)、75歳以上が1590万人(同12・5%)となり、いずれも過去最高となりました。「団塊の世代」の1949年生まれが65歳になったのが一因で、4人に1人が高齢者、8人に1人が75歳以上となります。
「敬老の日」ということで、『ただいま100歳』曻地三郎著(致知出版社)を再読しました。表紙には、著者の笑顔の写真が使われています。
この本の帯には、10代から100歳に至るまでの年代別テーマが10年ごとに示されています。『論語』の「志学」「而立」「不惑」「知命」「耳順」「従心」を思い出しますが、孔子は15歳から70歳までの道しか示しませんでした。だから、孔子よりも著者のほうが親切だと言えるかもしれません。
何よりも、100歳のテーマである「Go ahead! 前進、また前進。」というのが素晴らしいです。さらに素晴らしいのは、著者が実際に100歳を迎えた人だということです。本書には、まさに100年生きてつかんだ「生き方の秘訣」がふんだんに詰まっています。「今からでも遅くはない」というサブタイトルもシビれますね。
著者は、小学校、女学校、師範学校の教員を経て、福岡学芸大学(現・福岡教育大学)の教授、名誉教授を務めた人です。「小さきは小さきままに 折れたるは折れたるままに コスモスの花咲く」なる短歌を詠んだが、これは大学の教え子により全国的に有名になった。武田鉄矢が「3年B組金八先生」の中で生徒に「自分の尊敬する先生がこんな歌を詠んだ。君も小さいままでいいんだよ」と言ったのです。
そして、著者は昭和29年に「しいのみ学園」を設立し、半世紀にわたって障害児教育に心血を注いできた人です。こんな人ですから、「理想の世界を現実の世界に少しずつ植え付け、発展させていく。そこに人間の営み、生活があります」という言葉にも説得力があります。
とにかく、読むと勇気が湧いてきて、100歳まで生きたくなる本です!
なお、本書は『面白いぞ人間学』(致知出版社)でも取り上げています。