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2019.07.21
わたしが監修した『修活読本』(現代書林)の見本が出ました。「人生のすばらしい修め方のすすめ」というサブタイトルがついています。これで、97冊目の「一条本」となります。いよいよ、100冊の大台が見えてきました。
『修活読本』(現代書林)
本書の表紙には帽子を乗せた二脚の夫婦用の安楽椅子のイラストが描かれ、「人生100年時代を迎えて」「終活から修活へ」「より豊かに令和を生きるため」として、以下のように書かれています。
(特集1)
人生の後半戦を豊かに過ごすために〜修活のすすめ
生きがいさがし―–グランドカルチャーのすすめ
●「エンディングノート」の正しい書き方、残し方
●遺影の準備も忘れずに
●相続の基礎の基礎を教えます
(特集2)
私の葬儀、自分のお墓
●今どきの葬儀の実態
●あなたらしい墓選び
●墓選びの最新情報
●自然葬の基礎知識
●改葬・墓じまいの最新情報
●埋葬のイノベーション
介護も気になります
グリーフケアをご存知ですか
(読み物)
死を乗り越える”読書”
死を乗り越える”映画”
本書の「目次」は、以下のようになっています。
特集1
人生の後半戦を豊かに過ごすために―–修活のすすめ
生きがいさがし
特別インタビュー
【佐久間陽心氏に聞く お茶という文化の楽しみ】
「隣人祭り」に行こう!
コミュニティセンターの新しい形
「ともいき倶楽部笑いの会」の取り組み
達人の会
お隣さんいらっしゃい
長寿祝いと同窓会
遺言書とエンディングノー卜の役割
遺言書の基礎知識
遺言書を書こう!
進化するエンディングノー卜
お金の問題
無駄をチェックしてみよう
老後のお金5つのポイン卜
少子高齢社会を支える「互助会」
知っておきたい公的制度
家の問題
モノの整理術
メールや携帯の整理
遺品整理のコツ
遺影の準備も忘れずに
老後の備え 介護も気になります
健康ガイド すぐに始めたい「運動」「食事」の改善
読み物
「死」を乗り越えるための”読書”
特集2
私の葬儀、自分のお墓
葬儀は何のために?
今どきの葬儀の実態
事前見積もりのすすめ
一般的な葬儀の流れ
葬送品も選べる時代に
喪主の役割
クラクションから鐘ヘ
弔問のマナーの基本
法事・法要のすすめ
変化するお墓への意識
お墓の種類と内容
墓地・お墓の手続き
墓じまいの考え方
納骨堂
埋葬のイノベーション
海洋葬〜涙は世界で一番小さな海〜
樹木葬〜大地に還る〜
天空葬〜衛星口ケットに故人の遺骨を乗せる〜
月面葬〜月を見上げて、故人を偲ぶ〜
手元供養というスタイル
読み物
「死」を乗り越えるための”映画”
新しい活動
グリーフケアをご存知ですか?
グリーフケア研究所が上智大学に開所
月あかりの会
特別インタビュー
【作家一条真也氏に聞く
「修活」とは、残りの人生を考えることから始めよう】
わたしは、本書の「巻頭言」を以下のように書きました。
「人生はは100年を迎えています。
厚生労働省の『平成29年簡易生命表の概況』によると、現在60歳の平均余命は男性23.72歳、女性で28.97歳。『平均余命』とは、平均的にあと何年生きられるかを示した物です。60歳にこの余命年数を足せばいいわけで、男性も80歳を超え、女性は90歳に迫ろうという寿命になります。『人生100時代』が決してオーバーな表現でないことがわかっていただけると思います。
『終活』という言葉が今、大きな高齢者のテーマになっています。終活とは、『終末活動』を縮めたものです。つまり『人生の最期をいかにしめくくるか』ということで、人生の後半戦の過ごし方を示した言葉ではないということです。『いかに残りの人生を豊かに過ごすか』−−−−わたしは人生の修め方として『修活』という言葉をご提案します。本書では、人生の後半戦をより豊かに暮すための情報や知恵を提供したいと思っています。健康寿命を延ばし、生き生きした人生の後半戦を過ごすために、『終活』から『修活』へ。ぜひ本書をご活用ください」
究極の「修活」とは何か。それは、死生観を確立することではないでしょうか。死なない人はいませんし、死は万人に訪れるものですから、死の不安を乗り越え、死を穏やかに迎えられる死生観を持つことが大事だと思います。一般の人が、そのような死生観を持てるようにするには、どのようにしたらよいでしょうか。わたしがお勧めしているのは、読書と映画鑑賞です。何もインプットせずに、自分一人の考えで死のことをあれこれ考えても、必ず悪い方向に行ってしまいます。ですから、死の不安を乗り越えるには、死と向き合った過去の先輩たちの言葉に触れることが良いと思います。本書では、拙著『死が怖くなくなる読書』(現代書林)をベースに、修活のためのおススメ本を紹介しました。
読書ともに映画鑑賞も大切です。長い人類の歴史の中で、死ななかった人間はいませんし、愛する人を亡くした人間も無数にいます。その歴然とした事実を教えてくれる映画、「死」があるから「生」があるという真理に気づかせてくれる映画、死者の視点で発想するヒントを与えてくれる映画などがあります。また、わたしは、映画をはじめとした動画撮影技術が生まれた根源には、人間の「不死への憧れ」があると思っています。コミュニティセンター化を進めている紫雲閣では、「老い」と「死」をテーマにした映画の上映会(「修活映画館」)を開催する企画を進めています。本書では、拙著『死を乗り越える映画ガイド』(現代書林)をベースに、修活のためのおススメ本を紹介しました。
本書の巻末には、わたしのインタビュー記事が掲載されています。「『修活』とは、残りの人生考えることから始めよう」という見出しで、以下のリード文が続きます。
「日本人の寿命はついに男女とも80歳代を迎え、人生100年時代と言われる超高齢化社会がすぐ目の前にきている。また今、年間140万人近い人が亡くなり、2030年には160万人を超すと言われる『多死社会』でもある。多くの人が死を意識しながら、延びた寿命を生きていくことになる。人は『老いるほど豊かである』――そんな人生の修め方を提唱し続けてきた作家の一条真也氏に、人生100年時代のすばらしい「老い」の過ごし方を聞いた」
――一条さんは、常日頃から「人は老いるほど豊かになる」と言い続けておられますね。
一条 はい。老いはネガティブに取られがちですが、そんな意識を変えたいと思っています。仏教は「生老病死」の苦悩を説きました。そして今、人生100年時代を迎え、「老」と「死」の聞が長くなっているといえます。長くなった「老」の時間をいかに過ごすか、自分らしい時間を送るか−そのための活動が「修活」です。「終活」という言葉がありますが、わたしは「終末」の代わりに「修生」、「終活」の代わりに「修活」という言葉を考えてみました。「修生」とは文字通り、「人生を修める」という意味です。ぜひ「老い」をイメージしてみてください。たとえば「老」に起こることは次のようなことです。
①おっくうになる自分
外出がおっくうになる、家事がおろそかになるなどですが、それはふつうのことです。老化によって人は体力が衰えます。目の衰えに始まり、体の不調が増えます。嘆くことはありません。あなたが年をしっかりととっているという証です。
②認知症になる
物忘れが始まり、もしかすると認知症になるかもしれません。こうしたことは、けっして特別なことではありません。「老」の時間の中では起こりうることです。「わたしはピンピンコロリで死ぬ」と願っても、そうなるかもしれないし、ならないかもしれません。希望することと備えることは違います。「ならない」と考えるより、「なったときにどうするか」を考えることが大切なのです。
③寝たきりになる
老化が進むと、病気になったり、転んだりして、寝たきりになることもあります。介護を受けることも十分に考えられます。
――そうした「老い」と向き合うことも「修活」ということですね。
一条 そうです。いま、世の中は大変な「終活ブーム」だといいます。多くの高齢者が、生前から葬儀や墓の準備をしています。また、「終活」をテーマにしたセミナーやシンポジウムも花ざかりで、わたしも何度か出演させていただきました。さらに、さまざまな雑誌が「終活」を特集しています。ついには「ソナエ」(産経新聞出版)のような終活専門誌まで発刊され、多くの読者を得ているようです。その一方で、「終活なんておやめなさい」といった否定的な見方も出てきています。「終活」という言葉に違和感を抱いている方が多いということです。特に「終」の字が気に入らないという方に何人もお会いしました。もともと「終活」という言葉は就職活動を意味する「就活」をもじったもので、「終末活動」の略語だとされています。ならば、わたしも「終末」という言葉には違和感を覚えてしまいます。なぜなら、「老い」の時間をどう過ごすかこそ、本来の終活であると思うからです。
――修活とは豊かな老後の作り方?
一条 考えてみれば、「就活」も「婚活」も広い意味での「修活」ではないかと思います。学生時代の自分を修めることが就活であり、独身時代の自分を修めることが婚活なのです。そして、人生の集大成としての「修生活動」があります。わたしは、かつての日本は美しい国だったように思います。しかし、いまの日本人は「礼節」という美徳を置き去りにし、人間の尊厳や栄辱の何たるかも忘れているように思えます。それは、戦後の日本人が「修業」「修養」「修身」「修学」という言葉で象徴される「修める」という覚悟を忘れてしまったからではないでしょうか。わたしは『人生の修活ノート』(現代書林)というエンディングノートを作りました。そのノートを書くことで人生をしっかり修めてほしいのです。老いない人問、死なない人間はいません。死とは、人生を卒業することであり、葬儀とは「人生の卒業式」にほかなりません。老い支度、死に支度をして自らの人生を修める…この覚悟が人生をアートのように美しくするのではないでしょうか。
さて、次に訪れるのが、「死」です。どのような死を迎えるのか。誰にでも「老」の次には「死」がやってくるのです。死を考えないのではなく、ぜひ「死の準備」をしましょう。
・葬儀を考える
自分はどんな葬儀をしてほしいのか。これも終活の重要なポイントです。
・死んだ後を考える
最後は、自分が死んだ後のことを考えます。「老」の時間の中で、「死」までを考えることこそ「終活」です。それを含んで修活です。
――終活の本質とは修活であるということがよくわかりました。
一条 残りの人生をしっかり考えること−つまり自分らしくいかに生きるかを考えることこそが、修活なのだと思いますよ。
そもそも、老いない人間、死なない人間はいません。
死とは、人生を卒業することであり、葬儀とは「人生の卒業式」にほかなりません。老い支度、死に支度をして自らの人生を修める。この覚悟が人生をアートのように美しくするのではないでしょうか。わたしは、「豊かに老いる」そして「美しく人生を修める」ために、あらゆる視点から本書を監修し、作成しました。『修活読本』は8月5日に発売されます。『人生の修め方』(日本経済新聞社)および『人生の修活ノート』(現代書林)とともに、ぜひ、ご一読を!