No.1768 人生・仕事 | 人間学・ホスピタリティ 『平澤興一日一言』 平澤興著(致知出版社)

2019.09.17

『平澤興一日一言』(致知出版社)を再読しました。
「生きることは燃えることなり」というサブタイトルがついています。平澤興は神経解剖学、ことに運動神経の研究の世界的権威で、京都大学総長を務めた偉大な教育者でした。

本書の帯

本書の帯には「生きよう今日も喜んで」と大書され、続けて「多くの人に感動を与えた京大元早朝・平澤興の言葉をここに収録」と書かれています。
「まえがき」では、平澤興の教え子であり、筑波大学名誉教授の村上和雄氏が以下のように述べています。
「世界的な脳神経解剖学者だった先生が繰り返し述べられたのが『人間には無限の可能性がある』『人間には140億個の脳神経細胞があるが、それを使い切った者は1人もいない』ということです。人間には98%もの眠ったDNAが存在するといわれますが、そのDNAを目覚めさせ、1人ひとりに与えられた無限の可能性を開かせるにはどうすればよいのか――。先生から受け継いだこのテーマが、私の生涯追究すべき研究テーマとして、半世紀以上が過ぎた今も自分の心を駆り立てています」
それでは、わたしの心に残った言葉を以下の紹介していきましょう。

◇平凡の中の不思議
およそ世の中に目がさめたことも、無事に太陽が昇ったことも、今無事に心臓が動き、やすらかに呼吸していることなども、一見平凡ではありますが、実は未だに完全には解き明かすことのできぬ不思議がその奥にあるのであります。

◇教育の役割
教育とは火をつけることだ。教育とは、火をつけて燃やすことだ。教えを受けるとは、燃やされることであり、火をつけられることです。

◇真の偉大さ
真の偉大さとは、おそらく正しい的に焦点を合わせた燃える情熱であろう。

◇やればできる
やればできるのです。やればできるのであります。ノイローゼとか、神経衰弱とか、なんていうのは、まあ、ぜいたく病であります。本当に、命をかけてやろうというとき、なかなか命は、なくなるようなことはないのであります。

◇最高の生き方
今が楽しい。今がありがたい。今が喜びである。それが習慣となり、天性となるような生き方こそ最高です。

◇一流の人は明るい
頂点に立っておる人は、いかにも会って明るい。こちらが窮屈を感じるような偉さというものは、第一級の偉さではないのではないかと思います。

◇ニコニコと緊張
いつもニコニコとして緊張しておる姿、これが一番、前に向かう姿であります。緊張も神経質な緊張はやがて退歩になりますけれど、ニコニコとした緊張は、進歩のある生活だろうと思います。

◇仕事を楽しむ
仕事を楽しんでやるというのはのん気に要領よくやるということではなくて、自分の仕事に対して、つねに変わらぬ心の緊張を失わないということです。

◇身近にある幸福
とかく人間は最も大事なことを1つ忘れている。それは、自分が現在持たぬものには極めて敏感だが、現在自分が待っている幸福には甚だ鈍感だということである。たとえば、健康の人は健康を忘れ、若い人は若さを忘れておるが、病気になったり、老人になったりすると、はじめて健康や若さのすばらしさを、しみじみと感じるのである。

◇いかに生きるか
人生は にこにこ顔の命がけ

◇宇宙の中心で生きる
我々はまだ宇宙全体の広ささえもまだよく知らんので、唯一の存在地たる地球は、全宇宙の1つの中心と考えることができるかと存じます。確かに宇宙の不思議を感心できるというのは、人間だけであります。全宇宙で考え得る唯一の存在たるこの人間、これこそはあらゆるものの中で最も尊い存在だ、ということになりますと、我々はただ他人を拝むだけではなく、自分自身をも拝みたいような気になるのであります。

◇心の免疫
人生の困難は免疫を得るためのワクチンのようなもので、たくましい人生は、ただ苦難を恐れているだけでは不可能であり、それには進んで苦難というワクチンで心の免疫を身につけねばならぬ。

◇自由と抑制
真の自由とは、けっして人間が自らの欲望のままに、わがまま勝手に動くことではなく、むしろできるだけ人々に自由を与え、世の中に安らぎをもたらすために、自らのわがままを抑え、小我を殺して大我を伸ばすことである。

◇すべてが不思議
心を静めて周囲を見渡せば、われわれは天地の恵み、宇宙の情けの中に生きているようなものである。けさ無事に目がさめたことも、ただいま無事に呼吸できることも、考えてみればまことにありがたいことである。こんなことはあまりにありふれたことで、だれしもありがたくも不思議にも思わぬが、それは、今日なお最高の科学をもってしても解明しえないほどの不思議を含んでいるのである。

◇よき社員となる
大きな会社は世間にはいくらもありますが、おれの会社には心がある、誠実さがあるという誇りのもてるものは少なく、そうした会社の社員たることは人間として大きな喜びだと思います。しかし、そうした会社のよき社員であることのためには、皆さん一人一人が人間としての成長をめざさねばなりません。

◇生きる喜びと感謝
せいいっぱいの努力をしたら、結果についてクヨクヨ考えない、これがわたしの座右銘です。心の安定上もう1つ大切なのは生きる喜びとそれへの感謝でしょう。自分の力で生きているなどと、おこがましいことを考えません。毎朝、目をさましたとき生きていることの不思議さを感じ、それを喜ぶのです。

◇人間に生まれた幸せ
私がいま最も幸せだと思っているのは、人間に生まれてきたということです。この地上に最初の生命が生まれたのが30数億年前。その30数億年の生物史を通して各種の植物や動物ができたが、運よくも、その中でも生命の頂上に位する最も尊い人間に生まれてきたということはなんたる幸運だろう。

◇仕事がもたらす幸福
最も身近で、しかも自己にも仕事にも、いちばん幸福なことは、自己の仕事に打ちこむことではなかろうか。現在では、仕事は生きるための方便で、人生の目的を仕事以外においておるように思われる人も少なくはないが、それでは能率もあがらず、疲労も大きい。

◇なによりも大切なこと
なによりも大切なことは、人を生かすことである。そして、その人に喜びと勇気と希望を与えることである。

◇今日から実行
人生にとって最も望ましいことは、とにかく実行することである。しかも今日から実行することである。

Archives