No.1805 エッセイ・コラム 『未解明の不思議』 神岡真司著(ワニブックスPLUS新書)

2019.12.13

『未解明の不思議』神岡真司著(ワニブックスPLUS新書)を読みました。さまざな知識がコンパクトにまとまって、面白かったです。雑学といえば雑学ですが、会話の話題などで使えるネタが満載です。著者は心理学研究家。最新の心理学理論をベースにした法人対象のモチベーションセミナー、コミュニケーショントレーニング、人材開発コンサルティングなどで活躍中。心理学のみならず、世の中の「真理」研究をライフワークとしているそうです。

本書のカバー表紙には「えっっっ! まだわかってなかったの!?」「人間 宇宙 生物 日常 経済 世の中……」「知的興奮の連続! 賢い人ほど意外と知らない――だれもが気になる『未解明の最先端』を紹介」と書かれ、以下の項目が並んでいます。
〇日本人はどこから来たのか?
〇世界記録はなぜ更新され続けるのか?
〇人間はどうして泣くのか?
〇宇宙の大きさはどのぐらいあるのか?
〇地球の水はどこから来たのか?
〇文明はどこまで進化していくのか?
〇「ツボ」は本当に効き目があるのか?
〇なぜ渡り鳥は迷わずに目的地に行けるのか?
〇「日本の中心」が多すぎて確定できない?

また、カバー裏表紙には「必ず誰かに話したくなる」「世の中で『実はよくわかっていないこと』を総まとめ!」「賢く生きるために知っておきたいさまざまな分野の100の未解明」と書かれ、以下の項目が並んでいます。
〇現在の人類がいかに誕生したのか?
〇地球外生命体は存在するのか?
〇なぜ日本だけハンコが重視されているのか?
〇格差社会はまだまだ広がるのか?
〇なぜ「日本の借金」は膨らむばかりなのか?
〇なぜ全身麻酔は効くのか?
〇「近視の人」は頭が良いのか?
〇「熟成肉」がおいしいとは限らない?
〇人間は死んだらどうなるのか?

カバー前そでには、以下のように書かれています。
「本書は、ありとあらゆる分野にランダムに切り込み、将来の『生き残り』のヒントになる事柄もいろいろ織り込んでいるつもりです。世の中のしくみや人生を考えていただく上での『ヒント集』としても、お役立ていただけるはず――と著者は信じております。どうか最後までお付き合いくださることを心から願う次第です。――『はじめに』より」

本書の「目次」は、以下の構成になっています。
「はじめに」
第1章 人間の不思議
第2章 宇宙の不思議
第3章 生物の不思議
第4章 日常生活の不思議
第5章 世の中の不思議

第1章「人間の不思議」の07「なぜ人間は眠るのか?」には、「睡眠は動物にとって不可欠のもので、そのため、ショートスリーパーを除く多くの人は、人生の3分の1=25年以上は眠っているのです」とあり、さらには以下のように書かれています。
「これまでの断眠の記録では、1964年に米国のサンディエゴの高校生ランディー青年が出した11日と12分(264時間)が世界一です。スタンフォード大学の教授も立ち会った記録なので信憑性があります。ランディー青年が断眠を始めて2日目には眠気と倦怠感、4日目には自分が有名なプロスポーツ選手という誇大妄想に陥り、6日目には幻覚が現れ、9日目には視力低下や被害妄想にとらわれ、最後は極度の記憶障害が生じていますが、首から下の身体には特に影響が見られませんでした。断眠終了後は15時間爆睡後に自然覚醒し、その後は精神面でも肉体面でも後遺症はなかったのでした」

09「なぜ人間は泣くのか?」の冒頭には、以下のように書かれています。
「人や動物の眼球は涙でつねに潤い保たれていますが、こうした生理的要因以外に、感情の高まりによって目から涙をあふれさせ、『泣く』という行為は人間だけの特徴です。古典的心理学の理論では『ジェームズ=ランゲ説』というのが有名です。19世紀の終り頃、米国の心理学者ウィリアム・ジェームズとデンマークの生理学者カール・ランゲが同じように唱えた『情動の末梢起源説』で『悲しいから泣くのではない、泣くから悲しくなる』『楽しいから笑うのではない。笑うから楽しくなる』といった言葉に代表されるように、感情が湧きたつ前に生理学的反応が生じると説き、『情動の中枢起源説』を唱えた『キャノン=バード説』などと論争を引き起こしました」

また著者は、以下のような実験を紹介しています。
「米国ミネソタ大学の生化学者ウィリアム・H・フレイ2世博士は、1985年に『涙の成分』に関する面白い実験をしました。悲しい映画を観せて泣いた人の涙と、タマネギを切った時に出る涙の成分を比較したのです。悲しい映画で泣いた人の涙には、副腎皮質ホルモンのACTHという成分が多く検出されました。これはストレス反応で分泌されるホルモンで、人は泣くことで涙と一緒にストレスを排出していると唱えたのです」
最後に、著者は「苦しい、悲しい――といったストレスに見舞われたら、思いっきり泣きましょう」と訴えています。

10「なぜ人間は怒るのか?」では、こう書かれています。
「なぜ人は怒るのでしょうか。パワハラ人間はどうして生まれるのでしょうか。『怒り』の感情は、目の前の状況が、自分の想定していた『あるべき状況』にないことで生み出されます。目の前の状況が、『~ではない』という時に怒りが爆発するわけです。もちろん、怒ることの背景に、相手などを屈服させ、自分の思い通りにしたい――という傲慢な心理もはたらきます。すぐに怒る人は、許容度の小さい、認識のキャパシティが狭い幼稚な人でもあるわけです。状況が、自分の生存本能を脅かされたように不安に思い激昂するのです。深呼吸する、数を数える、自己への客観視などの、アンガーマネジメントが大事です。建設的感情に変換することで自己成長したいものです」

13「寿命はどこまで延び文明はどこまで進化していくのか?」では、以下のように書かれています。
「ここ10数年で、コンピューターやインターネット、スマートフォンなどの発達によって生活環境も劇的な進歩を遂げてきています。2045年には人工知能が人間の脳を超える技術的特異点(シンギュラリティ―)に到達するとまで予想されています。科学技術の進展で、想像もしなかった未来が到来するかもしれないわけなのです。しかし、英国の理論物理学者のスティーブン・ホーキング博士は警告しています。『遠くない未来に、小惑星衝突や核戦争で人類は滅亡するかもしれません。しかし、宇宙空間にスペースコロニーを作ることができれば、人類の未来は安全でしょう』」

ここで宇宙の話題が出てきました。ここまで、ずっと「人間の不思議」ばかり紹介してきました。わたしが最も関心があるのが「人間」だからなのですが、「人間」以外で関心が深いのが「宇宙」に関することです。第2章「宇宙の不思議」の22「ビッグバンの以前には何があったのか?」では、ビッグバンの以前にも、宇宙は存在したという説が近年は有力であるとして、「ビッグバウンス(大きな反発)」という考え方が紹介されます。20世紀初め、アインシュタインの一般相対性理論によって、宇宙は膨張している可能性が示されたのです。

しかし、著者は以下のように述べています。
「その後、1929年米国の天文学者ハッブルが、多数の銀河を測定し、スペクトル分析した結果、銀河が銀河系からの距離に比例した速度で遠ざかっていることを突き止めます(ハッブルの法則)。宇宙が膨張していることを証明したのです。ここから、宇宙は膨張していき、さらに特異点となるビッグクランチ(物質の重力による引力)を経て再び収縮を始め、崩壊することでビッグバウンスを招き、またビッグバンを経て宇宙が膨張していくというサイクリック宇宙論です。この説によれば、宇宙は永遠に膨張と収縮を繰り返していることになります」
なお、ビッグバンで宇宙が生まれたのが138憶年前です。

『ハートフル・ソサエティ』(三五館)

拙著『ハートフル・ソサエティ』(三五館)の「神化するサイエンス」にも書きましたが、宇宙を一冊の古文書として見るならば、その解読作業は劇的に進行しています。それというのも、20世紀初頭に生まれた量子論と相対論という、現代物理学を支えている2本の柱が作られたからです。さらにこの2つの物理学の根幹をなす法則を駆使することによって、ビッグバンモデルと呼ばれる、宇宙の始まりの瞬間から現在にいたる宇宙進化の物語が読み取られてきました。宇宙はまず、量子論的に「有」と「無」の間をゆらいでいるような状態からポロッと生まれてきたといいます。これは「無からの宇宙創生論」といわれているものです。

そうして生まれた宇宙は、ただちにインフレーションを起こして急膨張し、インフレーションが終わると超高温、超高密度の火の玉宇宙になり、その後はゆるやかに膨張を続けました。その間に、インフレーション中に仕込まれた量子ゆらぎが成長して、星や銀河が生まれ、太陽系ができて、地球ができて、その上に私たち人類が生まれるという、非常にエレガントな一大叙事詩というか宇宙詩とでもいうべきシナリオができ上がってきたわけです。そんな宇宙には、まだまだ謎がたくさんあります。地球外生命体やUFO(未確認飛行物体)の存在もそうです。

23「地球外生命体は存在するのか?」では、「NASA(米国航空宇宙局)は、これまでさまざまな探査を続けてきた中、地球外生命体が存在する可能性はある――として肯定的です。宇宙には、生命が生存しそうな環境や条件が備わった惑星や衛星がたしかにあるからです」と述べられています。また、30「UFOの存在についてどう考えるべきか?」では、意外にもNASAはUFOについて肯定的評価であるとして、以下のように述べられています。
「NASAのエイムズ研究センターのシルバーノ・P・コロンバーノ教授は『地球には、すでにETが飛来していて、我々がそれに気づかないだけなのかもしれない』と論文で発表し、その理由を『我々のような炭素系生物ではなく、想定をはるかに超えるような生体で、高度な知能やテクノロジーを有しているのかもしれないから』と述べています」

わたしは、この広大な宇宙に意識を持った存在が地球にしか存在しないというのは、あまりにも奇跡的であり、おそらく宇宙には隣人がいるのではないかと思っています。そういえば、今月20日、米国海軍がUFOの存在を公式に認めたという驚くべきニュースが入ってきました。米海軍は、過去15年間に同軍の操縦士が撮影した飛行物体を「未確認航空現象(UAP)」と分類し、調査していることをようやく認めたというのです。折しも同じ20日には、ネバダ州の機密軍事施設「エリア51」にUFO愛好家が集結するイベントが計画されました。フェイスブックでの参加呼びかけに、約200万人が参加を表明したそうです。エリア51は空軍の実験場や訓練場として使われていますが、立ち入りが厳しく制限されているために「UFOや宇宙人の秘密が隠されている」という噂が絶えません。

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