No.2161 社会・コミュニティ 『死なばもろとも』 ガーシー(東谷義和)著(幻冬舎)

2022.08.16

『死なばもろとも』ガーシー(東谷義和)著(幻冬舎)を読みました。著者は、27年間、芸能人のアテンダーとして活動。ギャンブル依存などが原因で資金難に陥り、芸能人の名前を使った詐欺事件を起こします。警察に被害届が提出され捜査が開始されると、ドバイに出国。今年2月から”暴露系YouTuber”として活動を開始し人気を博しました。そして、7月10日に投開票が行われた参院選にNHK党から比例区で出馬し、初当選。本人の申請に基づき議員氏名として通称を使用することが許可され、晴れて「ガーシー議員」となりました。公約は、「当選したら(著名人)47人の暴露を実名でやる」です。現在、著者は、ひろゆき(西村博之)夫妻とバトル中。ホリエモン(堀江貴文)や立花孝志を味方につけながらも、理由は別ですが、シバター、へずまりゅう、猪瀬直樹らから批判されるなど、まさに「怪獣大戦争」みたいになっています!

本書の帯

カバー表紙には、著書の強面の顔写真が使われ、帯には「令和のダークヒーロー 善か悪か 決めるのはあなた。」「俺を生み出したのはこの国の不満や」「ガーシーのグルメ&夜遊びガイド付き」と書かれています。また、帯の裏には「どんな状況に堕ちてしまっても大丈夫や。死なばもろともと覚悟を決めれば、人生ナンボでもやり直しがきくはずや。」と書かれています。

本書の帯の裏

本書の「目次」は、以下の構成になっています。
 序章 ジョーカー誕生
第1章 逃亡者
第2章 しゃべりだけで成り上がる
第3章 芸能界の表と裏
第4章 アテンダーという裏稼業
第5章 酒と女とカネと反社
第6章 死なばもろとも
第7章 社会の不満が生んだ怪物
◎ガーシーの夜遊びガイド
◎ガーシーのグルメガイド《がしログ》

序章「ジョーカー誕生」では、著者は「27年間、アテンダーとして芸能人やタレントのドブさらいをしていた俺を、多くの人間たちは簡単にポイ捨てした。死なばもろとも。どうせ死ぬなら、手のひら返した連中も巻き添えにしたる。死ぬ覚悟さえあれば人生怖いことなんかない。こうして芸能人や社長連中が震え上がり、若い子から中年のオッサン、オバハンまでがスマホの前で熱狂するガーシーが生まれたんや。勘違いするな。俺は正義の味方やない。悪党や。けど悪党だから裁けることがあるはずや。悪党による、国境を超えた逆襲劇が始まったんや」と述べます。

30年近くにわたって、芸能人やタレントのアテンダーとして生きてきたという著者は、「華やかなスポットライトを浴びながら数百万人、数千万人の視聴者から注目される仕事は、精神的ストレスがハンパやない。仕事が終わればドッと疲れが襲い、憂さ晴らしをせにゃ翌日の営業に差し支える。アテンダーの仕事は、そんな彼らに束の間の安らぎを与えてあげることやった」と言います。その活動範囲は、歌舞伎町や銀座、六本木に西麻布、サッポロのすすきの、大阪の北新地とミナミ(道頓堀)、那覇の辻や松山まで。著者は、「北から南まで、かわいい女の子、綺麗な女の子を血眼になって探し求めてきた。その子らを有名人に紹介するアテンド業が、俺の職業や。ええことばかりやない。汚れ仕事なんざいくらでもある。いや、汚れ仕事ばっかりや。芸能人のケツを拭いても俺自身がスポットライトを浴びることなんて一度もない。アテンダーは黒子や。黒子が前にしゃしゃり出て目立とうなんざ、論外や。一生、陽の目を見ない。それでええんや」と述べています。

著者は、韓国のアイドルグループ「BTS」に会わせるといって多くのファンから金を集める詐欺行為を働きました。それは明らかな犯罪ですが、その背景には著者のギャンブル狂がありました。横浜の裏カジノなどで高額の麻雀に明け暮れ、莫大な借金を作りました。著者は、「あのころは、自分の人生の中でこんなにギャンブルにハマったことがないというくらい、完全にギャンブルにハマりこんでいた。なぜそのゾーンまで入り込んでもうたのか、理由は自分でもわからん。気がつかんうちに、頭のてっぺんまでぬかるみに浸かりこんでいた」と回想します。著者の父親もギャンブル依存症だったそうで、「ギャンブルで頭がイカれていたオヤジは、闇金からけっこうなカネを引っ張っていたらしい。『トイチ』(10日で1割)だか『トサン』(10日で3割)だか『トゴ』(10日で5割)だか知らんが、法外な金利を吹っかけられてもカネを借りねばならんアホがあおる。ウチのオヤジもそうやった。オヤジは高校教師で、闇金から学校まで追いこみをかけられ『もう終わりや』と観念したんやろう。オヤジは自殺してもうたんや」と述べています。なんとも辛い話ですね。

わたしも「トイチ」という言葉は知っていましたが、「トサン」や「トゴ」なんて初めて知りました。著者もギャンブルで大借金を抱えて返済のメドが立たず、雪山で酒を飲んで自殺しようとします。しかし、その計画は失敗に終わりました。こんな生き方をしていた著者は、当然ながら、ヤクザと関わりを持ちます。ギャンブルにハマる前から、風俗嬢の引き抜きなどの活動をしていた著者は、何度もヤクザから脅しを受けています。本書には、著者が若いヤンチャ時代にケンカをしたとか、ナンパの達人で女の子をたくさん食ったなどの下らない自慢話がたくさん書かれていますが、そんな馬鹿みたいな話よりもヤクザとの対峙の仕方が勉強になりました。著者は、「読者のみんなも、俺みたいに怖い思いをすることが一生に一度はあるかもしれん。ヤクザ者や怖い兄ちゃんにからまれたときは、ひるんだらアカン。怯えた顔を見せた瞬間、向こうのいいようにやられてまう」と述べています。

「お前、ここで帰りたきゃ帰ってもええぞ。その代わり、お前の家族がどうなるかわからんからな」という定番の脅し文句があります。「子どもを歩けへんようにしたるぞ」とか「女房を手ごめにされてもええのか」などと言われても、ヤクザ者はまず手を出してはこないとして、著者は「カタギに手なんか出したら、マル暴(ヤクザ担当の刑事)が黙っとらん。何かの手違いでカタギを再起不能にしたり殺したりしたもんなら、本人は死刑か無期懲役刑が確定、親分や主だった幹部は殺人教唆で根こそぎ引っ張られて、組はつぶされてまう。ボッタクリに引っかかって脅されたり、自分に非がないと思ったりするのであれば、強気で行って問題ない。自分に非があると思うのなら、素直に『ごめんなさい』すりゃええ。相手に迷惑をかけたという自覚があるのなら、迷惑料を払って示談すればええだけの話や。相手によって態度を変えたらアカン。自分の筋を通すことが大切や。腹をくくったときの気合は相手に伝わる。こういう処世術も、頭の片隅に置いておくとええ」と述べています。これは説得力がありますね。

わたしは、アテンダーという仕事に興味を持ちました。というのは、そこに「ケア」の匂いを感じるからです。著者がアテンドする相手は主に芸能人ですが、「芸能界は遠く離れた雲の上の世界、自分なんて一生縁がない。そんなふうに思っている読者もおるかもわからん。けど、芸能人も一般人も同じ血が通った人間や。ストレスが溜まればイライラして、パーっと発散したくなる。いつも笑顔を振りまいてばかりもいられん。スポットライトが当たらない場所では、芸能人かてみんなと同じ生身の人間や」といいます。そして、アテンドの仕事について、著者は「昔から『一事が万事』と言うとおり、小さな仕事を馬鹿にしない。たいして儲かりもせん細かい仕事でも、相手の気持ちを想像しながら丁寧にこなす。どうやったら目の前の相手が喜んでくれるか。どんな仕事だろうとサービス精神が基本や。そうやって真面目にコツコツ仕事をしていけば、カネでは買えん信用が生まれる」と述べています。これは、やはり「サービス」というより「ケア」ですね。

著者がアテンドしたのは、芸能人だけでなく、経営者やアスリートもいました。彼らは総じて性欲が強いそうで、著者は「生粋の女好きや。かわいい女の子に会いたくてしゃあない。せやけど彼らは顔も名前も知られているから、表のルートからは女の子を紹介してもらいづらかったりもする。女の子の趣味は人によって細かい。かゆいところに手が届くように、彼らの需要に応えて女の子を紹介してあげる。トラブルが発生したときには、隠密裏に問題を解決する。汚れ仕事まできっちりこなすのが、アテンダーとしてのプロフェッショナルの流儀や」と述べます。一見、女衒と似ているようにも思えますが、著者は「女衒なんかと一緒にされたら困る。貧しい家の女の子を、芸者や遊女、旅籠屋の女中として売り飛ばす。江戸時代に半ば人さらいのように女の子を人身売買し、売り上げを中抜きしてカネ儲けしてたのが女衒や。俺らアテンダーのことを女衒呼ばわりしたらアカン。顧客と女の子が揉めたとき、女衒はトラブル処理なんてやってくれへん。アテンダーはそこまできっちり面倒を見る職業なんや」と述べるのでした。

アテンダーのケア・マインドは、経営者・芸能人・アスリートと女の子の飲み会の場でも発揮されます。著者は、「酒が飲めない俺はいつもシラフやから一人だけ冷静や。ちょっと飲みすぎの子がいたら『フラフラしてない? 大丈夫?』と声をかけて水を勧める。その子のお酒はコッソリ薄めに作ってあげる。『酔っぱらいすぎて危ないな』と思ったら、Uber Taxiを手配してタクシーに乗せ、自宅まで無事に送り届ける。昼過ぎまでグーグー寝てることなんてない。ちょっと元気がなさそうな女の子はランチに連れて行き、ご馳走して相談に乗ってあげたりもする。そうやって女の子と信頼関係を結び、芸能人やタレントとつなげていったんや。女の子から信頼されていたら、タレントと女の子が揉めたときも穏便に済ませることができる。タレントのケアと同じように女の子のケアが大事なんや」と述べています。著者自身もやはり、「ケア」ということを心がけていたのですね。でも、著者は「俺は、ブス・アレルギーや」と豪語して、女性を容姿でしか評価しないところは共感できません。いくら親切にしても、女性の評価基準が容姿だけの男性に対して、女性も最終的には心を開かないと思います。

面白かったのは、プロ野球とJリーガーのくだりです。アスリートについては意識的になるべく関わらないようにしてきたという著者は、「芸人や俳優、アーティストは、女遊びをやればやっただけ芸の肥やしになる。色気も出てくる。きれいな女の子にキャーキャー言われることがモチベーションになり、ますます仕事をがんばる人間が多い。けどアスリートだけは、アテンダーが女の子を紹介するとダメになってまうケースが多い」と述べます。アスリートは総じて性欲がとても強いそうですが、著者は「プロ野球は毎日のように試合があるから、シーズン中はムチャクチャハードや。試合がない日は地方への移動日やったりするし、遊びたくてもそんなには遊べない。Jリーグは試合間隔がプロ野球ほどハードやないから。試合と試合の合間にインターバルが空く。ピッチを90分間走りまわった体を休め、メンテナンスするべき休暇日に女遊びをしまくとったら、サッカーがダメになっていくのは当然や。若いうちから海外リーグに移籍したほうがいいのは、サッカーだけに集中できるというのも大きいんやろうな」と述べます。

著者はアテンダーをしながら、多くの芸能人たちの女性への接し方を目のあたりにしてきました。そんな著者が考える「モテる男の条件」とは何か? アテンダーとして今までさんざん人を見てきた著者によれば、「男は余裕があるヤツがモテる。芸能人であろうが一般人であろうが、モテたい思うたら余裕が一番大事や。話がオモロイとかカッコええとかは二の次や。男はとにかく女の子に目がくらんでしまう。売れてるイケメン俳優ですら、かわいい子を見つけると突然がっつく。がっつかないヤツ、余裕をかましているヤツのほうに、女の子は興味をもつもんや。ちょっと後ろに下がって、自分は恋愛だのセックスだのにはあまり興味がないみたいな顔をしとる。そのほうがよっぽどモテるもんや」と言い切ります。そして、余裕の次に大事なのは飾らない性格だそうで、著者は「タレントや芸人にはプライベートな場になったとたんオフのスイッチを入れる人間がたくさんおる。まあ常に人から見られる仕事をしているのやから気持ちはわかる。でもそんな態度は周りに気を遣わせるしモテへん。どんな売れっ子でもテレビで見るまんまのキャラで飾りっ気のない人間が女の子は好きなんや」と述べるのでした。

著者にとってアテンドの商品ともいうべき女性タレントについてのくだりも興味深いです。タレントほど消費の速い仕事はなく、明日はどうなるかわからない不安定な職業であるとして、著者は「せやから一時売れても調子に乗ったらアカン。女性タレントは、一時期バラエティ番組で一世を風靡しているように見えてもすぐに飽きられる。たちまち同じようなキャラの若手に追い抜かれて仕事がなくなる。ゴールデンタイムの番組に呼ばれなくなり、深夜放送に退き、そのうち民放キー局やNHKからはお座敷がかからなくなる。地方のテレビ局で仕事があればええけど、最終的に通販番組くらいしかテレビに出られなくなる。それにすら呼ばれないとなると、いよいよ仕事がない。ピークが過ぎて芸能人人生の先が見えてきた女性タレントは、精神的に相当追い詰められとる。華やかな世界を知ってしまっとるからタチが悪い。それなりに贅沢させてくれる人と結婚したがる」と述べます。そんな彼女たちは最終的に田舎に帰って、地元で太い商売をやっている二代目三代目のボンボンと結婚することが多いそうです。

著者は、詐欺事件で逮捕されるのを恐れて、現在はドバイに滞在しています。日本の法律は、日本の領土内でしか適用されません。一歩でも外国に出た瞬間、外国人観光客もその国の法律に縛られます。しかし、北朝鮮にいる「よど剛」ハイジャック犯人や、レバノンに逃亡した元日産のカルロス・ゴーンを日本の警察は逮捕することはできません。「犯罪人引渡条約」というものがありますが、著者は「国外へ逃亡した犯罪者を、現地の警察なり入国管理局なりがひっ捕らえて引き渡すかどうかを決める国際条約や、日本が『犯罪人引渡条約』を結んどるのは、実はアメリカと韓国の2カ国しかない。もし俺がハワイなりLAなりソウルなりにいるとしたら、逮捕状が出た段階でひっ捕らえられて日本政府に引き渡される可能性がある。アメリカと韓国以外の国にいれば、安全圏ということや」と説明しています。「もしも」のときはタメになる情報ですね。

現在はBANされあたとはいえ、一時はYouTubeチャンネルで120万人以上の登録者を誇り、参議院議員にまで上り詰めた著者ですが、自身は「なぜここまで俺が支持をされているか。自分のことだから客観的に見るのは難しいが、視聴者やフォロワーの反応を丁寧に見ていってその理由がわかってきた気がする。1つはこの国の老害たちへの不満。そしてもう1つは、調子乗ってるイケメンやカネ持ちへの不満や。つまり日本の閉塞感と格差の呪いが全部俺の背中に乗っとるや。『ガーシー』というのは日本のフの側面の写し鏡なんや」と述べます。「ネットもSNSもロクに理解しない老人どもが実権を握っているから日本がどんどん世界から取り残されていくんじゃ」とも言っていますが、これは一理も二理もあると思いますね。

著者がYouTubeでやってきた芸能界の暴露は「ドブさらい」だといいます。旧世代のシーラカンスみたいな連中は既得権益にしがみつき、臭いものにはフタをしてきましたが、このところ腐臭を放つメタンガスが爆発して壺のフタがあちこちで開いているとして、著者は「映画監督やプロデューサーの肩書きを利用して、そこらじゅうの女優に性暴力を働いてきた人間のクズがあおる。そいつらの実名が#MeTooムーブメントによって次々と暴露されとる。昭和の古い時代に、こんな話はいくらでもあったはずや。しかし権力者がいくらでももみ消してきたんや。そんな時代はもう終わりや。陰でムチャクチャやっとる連中の悪行に、もうフタをすることはできん。いつまでもドブにゴミを溜めといたらアカン。膿は徹底的に出せっちゅう話や。俺のドブさらい活動に、若い人は賛同してくれとる。拍手喝采や」と述べています。なるほど。

そして、「老害」への不満と同じくらい大きいのが、調子に乗っているイケメンやカネ持ちへの不満だといいます。世の中の99%の人間は毎日地味で慎ましい生活を送っていると指摘し、著者は「満員電車に乗って、嫌いな上司と生意気な部下の間で板挟みになって、もらえる給料なんてたかが知れとる。みんな世の中に対して不満をもっとる。好きなことをして楽しく生きている人間なんて実際にはほとんどおらん」と述べます。著者の支持層は若年層が中心と思われがちですが、じつは50代~60代が多いそうで、つまり、この世代が不満を持っているというのです。著者は、「30年以上毎日満員電車に乗って真面目にコツコツ生きてきたのに、社長や役員になるわけでもなしに人生の折り返しを迎える。そんな中、調子に乗ったイケメンが女の子を喰い散らかし、カネをもっているから何でもしていいと勘違いしている社長連中が外道なことをやっていたら誰でもムカつくに決まっとる。必死の思い出稼いだ月給以上のカネを一晩で使うような連中の人生。っそれがムチャクチャになるのを望んどる。連中の悪事がさらされ地に堕ちるのを期待しておるわけや」と述べるのでした。

これは、まったくその通りだと思います、翻って、自分のことを考えると、わたしは別に贅沢をしているつもりもなく、女遊びもしません。ホテル業の勉強のために名店とされる飲食店で食事をすることはありますが、あくまでも「学び」の一環だと思っています。また、業界の付き合いや接待などで料亭や高級クラブなどに行くこともありますが、個人的には町中華とか居酒屋の方が落ち着きます。でも、この30年間、満員電車に乗ったことは数えるほどしかないですし、冠婚葬祭やグリーフケアの研究と実践のためとはいえ、好きな本を読んだり、映画を観たりして、ブログや著書も書き、さらには大学で客員教授も務めているわたしは、他者からすれば「好きなことをして楽しく生きている人間」のように見えるかもしれません。もちろん、他者を幸せにするという志や使命感は抱いてはいますが、この著者の言葉を戒めとして、自分が恵まれていることを素直に自覚し、これまで以上に慎ましく謙虚に生きなければいけないなと思った次第です。いや、本当に。

最後に、著者は「日本はホンマ腐っとる。この権力構造を破壊しない限り、この国は終わる。俺は悪党や。正義の味方やない。悪党にしかできない方法で腐りきった連中を地獄に落とす。たとえ権力者が、何らかの方法で俺の口を黙らせたり、俺の存在を消し去ったりしたところで、ガーシー劇場は終わらない。俺を生み出したのはこの国の不満や。この国から不満がなくならない限り『第二、第三のガーシー』があとに続く。オモロイのはこれからやで。ほなの」と述べるのでした。彼の参議院選挙当選の原動力となったYouTubeチャンネルがBANされた今、これから著者がどう動くかが注目されます。著者は参議院に海外渡航届を提出しましたが、運営委員会理事会は不許可を全会一致で決定。インスタグラムで、「お前らに参議院議員にしてもらった訳でもないのに偉そーにすな/オレの議員としての存続を決めれるのは、票を入れてくれた支持者だけや」と悪態をつきました。

参議院は解散がないため、著者の任期は2028年7月までとなります。この調子で今後も欠席が続くのかと有権者は強く反発。たちまちTwitterに「#ガーシー辞めろ」のハッシュタグが生まれました。そんなダークヒーローの初の著書となる本書は大きな話題を集め、ベストセラーになっています。社会的に非難されている人物の著書を出して話題を集める商法は、この場面を観て、わたしはブログ『絶歌』で紹介した本を思い出しました。著者は、1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件における殺人及び死体遺棄の容疑で逮捕された「酒鬼薔薇聖斗」こと元少年Aです。現役の国会議員を連続殺人鬼と同列に扱っては怒られるかもしれませんが、2冊の本には同じ匂いがするように思えてなりません。本書には著者の過去の武勇伝が多く、著者がこれからどういう日本を創造していきたいのかという肝心の部分が曖昧でした。ちなみに、芸能人などの暴露話などは価値がないと思いましたので、一切引用も言及もしておりません。悪しからず。

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