No.2211 ホラー・ファンタジー 『漆黒の慕情』 芦花公園著(角川ホラー文庫)

2023.02.08

『漆黒の慕情』芦花公園著(角川ホラー文庫)を読みました。一条真也の読書館『異端の祝祭』で紹介したホラー小説の続編です。前作同様に、面白かったです。著者は、東京都生まれ。2020年、カクヨムにて発表した中編「ほねがらみ―某所怪談レポートー」がTwitterで話題となり、書籍化決定。21年、同作を改題した一条真也の読書館『ほねがらみ』で紹介した本でデビュー。古今東西のホラー映画・ホラー小説を偏愛しているそうです。

本書の帯

本書の帯には、「どこまでも追いかけてくる呪い」「注目度No.1」「『異端の祝祭』の芦花公園が放つ、ノンストップ都市伝説カルトホラー」と書かれています。帯の裏では、本書がコミカライズされたことが紹介されています。

カバー裏表紙には、以下の内容紹介があります。
「塾講師の片山敏彦は、絶世の美青年。注目されることには慣れていたが、一際ねっとりした視線と長い黒髪の女性がつきまとい始める。彼を慕う生徒や同僚にも危害が及び、異様な現象に襲われた敏彦は、ついに心霊案件を扱う佐々木事務所を訪れる。時同じくして、小学生の間で囁かれる奇妙な噂『ハルコさん』に関する相談も事務所に持ち込まれ……。振り払っても、この呪いは剥がれない――日常を歪め蝕む、都市伝説カルトホラー!」

アマゾンより

いやあ、面白かったです! 処女作『ほねがらみ』のときは著者の文章力に難を感じたのですが、短期間の間に各段に上達しています。もちろん本人の努力もあるのでしょうが、角川ホラー文庫の編集者のアドバイスが良いのではないでしょうか。澤村伊智氏と並んで、著者は角川ホラー文庫の看板作家になると思います。前作『異端の祝祭』は山奥の隔離された施設が主な舞台でしたが、今回の作品は日常的な都市が舞台です。そこでストーカーや都市伝説話が展開していくのですが。前作と同じく章ごとに語り手が変わって、話が二転三転していく展開が見事でした。著者の非凡な筆力を感じました。

前作に続いて、心霊案件を扱う佐々木事務所の佐々木るみ、青山幸喜のキャラが立っています。『ほねがらみ』のときは、著者は「ホラーを書くうえで気をつけているのは、なるべくキャラクターを立てないこと。特徴的なキャラクターを登場させると、『この人は主人公だから助かるだろう』という安心感が生まれてしまいます。外見描写もなるべく減らして、ノンフィクションのように淡々と書くことを心がけました」とダ・ヴィンチWEBのインタビューで答えていましたが、『異端の祝祭』『漆黒の慕情』と続く佐々木事務所シリーズのキャラ設定は見事です。

そして、この作品には片山俊彦という魅力的なキャラクターが登場します。「絶世の美女」という言葉はあっても「絶世の美青年」という言葉は聞いたことがありませんが、片山俊彦はまさに「絶世の美青年」と呼ぶべき容姿の持ち主なのです。その外見の美しさゆえにストーカーの被害にも悩まされるわけですが、そんなに美しい男性って現実にはどういう人? 若き日の木村拓哉や松本純、滝沢秀明……いや、ジャニーズのタレントではなく、わたしは今は亡き三浦春馬さんを連想してしまいました。この『漆黒の慕情』はコミカライズされたようですが、ぜひ映像化もしてほしいです。片山俊彦の役は、本当は三浦春馬さんにやってほしかったけど、今の役者なら、やっぱり吉沢亮かなあ?

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