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2026.01.05
正月早々から、凄い漫画を読みました。
『映画は予告編の後に始まる』上・下、藤原嗚呼子著(小学館)です。高校時代に撮影した自主製作映画から始まる青春ミステリーですが、最高に面白かったです!
上巻の帯
上巻の帯には、「京都を舞台に、15年前に死んだ彼女の死の真相を追う、青春ミステリー」と「“その悲鳴は、誰が隠したのか。その声援は、何を産んだのか。『感動』という暴力に抗う、残酷な本編が始まる”荻上チキ氏(評論家)激賞!!」と書かれています。帯の裏には、「青春、ノスタルジー、初恋の女子との永遠の別れ…15年を経た今、彼女の死の真相を追うことに…!!」と書かれています。
上巻の帯の裏
上巻のカバー裏表紙には、「高校の同級生と偶然再会したことをきっかけに、京都の母校のタイムカプセル開封式に出席した奏多。奏多は高校時代映画部に所属し、映画を撮っていたが、15年前に映画の主演で初恋の相手だった春田茜が自殺してしまって以降、過去から立ち直れずにいた。そんな中、タイムカプセルから春田が入れたビデオテープが発見され、当時の仲間で観ることに。だらそこには、映画の製作ビハインド映像とともに、衝撃的な音声が残されていた…!!春田の死は、本当に自殺だったのか…!?」「失われた青春の痛みと、真実を追う、ノスタルジックミステリー!」との内容紹介があります。
下巻の帯
下巻の帯には、「春田茜はなぜ死んだのか…ついに15年前の真実が――! 京都青春ミステリー、完結!!」と「“その悲鳴は、誰が隠したのか。その声援は、何を産んだのか。『感動』という暴力に抗う、残酷な本編が始まる”荻上チキ氏(評論家)激賞!!」と書かれています。帯の裏には、「過去と現在…全ての点が線へと繋がった時、15年前の衝撃の真相へと辿り着く――!!」とあります。
下巻の帯の裏
下巻のカバー裏表紙には、「突然のカオリの告白に奏多は激しく動揺したが、やはり事件の真相を追うことを決意した。そんな時、仲間の岡本により、テープの声の男がついに判明する。一方、ビデオテープを見直した奏多は、春田が死んだ現場となった廃墟のプールが映っていたのを発見する。そして二村の生徒・八木が抱える問題と、15年前の事件とが繋がり、奏多たちを驚愕の真相へと導いていく…!!」「京都を舞台に贈る青春ミステリー、完結!!」との内容紹介があります。いやあ、本当に「驚愕の真相」でした!
作者は漫画家の藤原嗚呼子氏ですが、わたしは最初、「嗚呼子」の呼び方がわからなかったのですが、「ああこ」と読むのですね。藤原氏は、2006年『どこへ。どこへも。』が、第21回 MANGA OPEN(講談社)かわぐちかいじ賞を受賞。翌2007年、第52回 ちばてつや賞(講談社)にて、『colors』が一般部門入選。2008年にも第65回新人コミック大賞(小学館)で「アフター・ザ・ドリーム」が佳作を受賞。代表作は『デザインノイロハ』(モーニング・ツー/2010年)や『きまじめ姫と文房具王子』(月刊スピリッツ/2020年)だそうです。わたしは藤原氏の存在は知りませんでしたが、本作『映画は予告編の後に始まる』は本当に名作だと思います。
『映画は予告編の後に始まる』ですが、甘酸っぱい高校時代の初恋の思い出を語ったノスタルジック・ストーリーかと思いきや、次第に性暴力や殺人の可能性まで出てきて一気にミステリー色が強くなり、そこから物語は映画界の闇へと進展していきます。ついには人気俳優や世界的に高名な映画監督への疑惑も登場し、わたしは一条真也の映画館「SHE SAID /シー・セッド その名を暴け」で紹介した2023年のアメリカ映画を連想しました。同作は、高名な映画プロデューサーであったハーヴェイ・ワインスタインの長期にわたる性的暴行を告発した記者たちによる回顧録を映画化したものです。ハリウッドの絶対権力者による犯罪を暴くため、真実を追い求める記者たちの執念を描いています。
「SHE SAID /シー・セッド その名を暴け」は究極の胸糞映画ですが、腐っているのはハリウッドだけではありません。日本の映画界も同様で、最近は多くの女優たちから性的被害の告発が相次いでいます。その闇が高校の映画部や演劇部にまで及んでいたというのが『映画は予告編の後に始まる』のポイントですが、#MeToo運動だけでなく、アカデミー賞を思わせる世界最高の映画賞の授賞式をクライマックスに持ってくるところなど、見事な物語展開でした。映画がテーマの漫画だけに、ぜひ映画化してほしいと切に願います。映画化された際のキャスティング、特に性的加害者である監督や俳優を演じる候補者の名前も浮かんでいるのですが、その名をここで明かすのは止めておきましょう。とにかく漫画『映画は予告編の後に始まる』は傑作ですので、映画界に興味がある方はぜひご一読下さい。