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No.2481 ホラー・ファンタジー 『イシナガキクエを探しています』 夜馬裕著(KADOKAWA)
2026.07.20
『イシナガキクエを探しています』著:夜馬裕、原作:福井鶴、寺内康太郎(KADOKAWA)を紹介します。テレビ東京で2024年春に放送された架空の公開捜査番組(モキュメンタリー/フェイクドキュメンタリーホラー番組)の書籍版(ノベライズ)なのですが、非常にミステリアスで怖く、面白かったです!
本書の帯
本書の帯には、イシナガキクエとおぼしき女性の写真が使われていますが、ぼやけているので顔はわかりません。また、「お心あたりの方は御連絡をお願いいたします。」と書かれています。
本書の帯の裏
帯の裏側には、「日本中を震撼させた異色モキュメンタリー番組。失踪した女性を探し続けた本当の理由は――? 放送後に判明した衝撃の事実。」「長年『イシナガキクエ』という女性を探していた米原実次は、テレビ東京に協力を依頼した直後に死亡し、その遺志を継いで番組が放送された。全3回の深夜放送は大きな反響を呼んだが、多くの疑問を残しながら未解決のまま終了し、視聴者の間で物議を醸した。番組スタッフの葛藤があったこと、若くして逝った妹の遺志は継いでやりたかった。私はそのために筆をとったのだから。(本文より抜粋)」とあります。
2024年4月から5月にテレビ東京で放送されたモキュメンタリー番組「イシナガキクエを探しています」は、実在する行方不明者の情報ではありません。しかし、放送中に案内される問い合わせ窓口の電話番号が実在するなどリアリティを追求した結果、ネット上では番組内容が事実だと誤認する人や考察する人、「不気味」「怖い」などの声が続出し、一時Xでは日本トレンド1位になる騒ぎになりました。
本書は、単なる番組の文字起こしではなく、放送の舞台裏を描いた書き下ろしや、未公開資料、QRコードを用いた未公開の音声や動画などが収録されたメディアミックス作品となっているそうです。しかし、わたしがQRコードを読み取ろうと思っても、すべて「この動画は再生が許可されていません」の表示が出るだけでした。物語の最後にある「イシナガキクエ」に関する特別な映像とやらも同様でした。仮に最初から使えないQRコードを掲載しているとしたら、読者に対して不誠実という他はなく、版元の信用も失います。天下の角川がこんなイタズラをしてはいけませんね。
テレビ東京の番組「イシナガキクエを探しています」は、同局のプロデューサー・大森時生氏らによる特別番組「TXQ FICTION」の第1弾作品です。「フェイクドキュメンタリー『Q』」の寺内康太郎と皆口大地も制作に参加。皆口には「世にも奇妙な物語」のように、タイトルを聞いてどんな番組か想像できるようにしたいという思惑があり、モキュメンタリーを作ると聞いた時には入れ子の構成にすることを思い当たったそうです。実在の番組と見紛う演出(生放送風のオペレーター席、実在する問い合わせ電話番号など)が大きな話題を呼び、SNSを中心に考察ブームを引き起こしました。
55年前に突如失踪した女性「イシナガキクエ」を、長年探し続けていた依頼人・米原実次氏の遺志を継いでテレビ局が公開捜索を行うというストーリーです。物語が進むにつれ、単なる人探しではなく、米原氏がかつて亡くなった恋人(キクエ)を降霊術(エクトプラズム)によってこの世に呼び戻そうとした怪異や、それに伴う狂気的な儀式が絡んでいるオカルトホラーであることが明かされていきます。テレビでの放送終了後も、さまざまなメディアで展開が続けられています。個人的に、イシナガキクエは「リング」の貞子のようなホラー・アイコンになりうると思いました。