- 書庫A
- 書庫B
- 書庫C
- 書庫D
No.2488 SF・ミステリー 『この配信は終了しました』 青木雪平著(双葉社)
2026.08.14
『この配信は終了しました』青木雪平著(双葉社)を読みました。ネット配信者たちの姿を描いた連作ミステリーで、なかなか面白かったです。著者は1990年生まれ。青森県出身。「ぼくのすきなせんせい」で第3回大藪春彦新人賞を受賞しデビューした後、初長編『人鳥クインテット』でデビュー。2作目となる『バールの正しい使い方』が第26回大藪春彦賞候補になりました。
本書の帯
本書のカバー表紙には、動画配信の部屋の写真が使われています。また、「暴露系」「心霊系」「考察系」「救済系」「正義系」と本書に書かれている動画配信のジャンルが並び、「読み終えたあと、あなたはもう、配信が見られなくなる!?」「こんなヤバい配信者たちと競う世界線じゃなくてよかった。――ぶんけい(柿原朋哉)さん」「読後、配信が終了した後に残る、黒い中毒症状に、全身麻痺しました・・・・・・!――紀伊國屋書店福岡本店・宗岡敦子さん」「あれは!とページを戻って名前を確認したり、連作短編集の面白さも抜群に巧い。ラストは、そうきたか! やはり青木雪平さん、只者ではない。――未来屋書店大日店・石坂華月さん」と書かれています。

本書の帯の裏
帯の裏には、「暴露系――暴露系動画チャンネルを運営する兄弟に週刊誌記者があるネタを提供してきたが、その裏にある罠とは!?」、「心霊系――廃墟や心霊スポットを紹介する心霊系配信者の先輩後輩コンビが出向いたのは連続殺人事件が起きた廃墟で・・・・・・」、「考察系――有名な考察系配信者が生配信の最中に席を外し、その後、死体となって見つかった。自殺か事件か――衝撃の結末が読者を待ち受ける」、「救済系――樹海で発見された行旅死亡人の男性。その遺体の横には、若い女性のリュックサックがあった。リュックの持ち主とは!? そして『伝説の救済系』配信者とは!?」、「正義系――私人逮捕を晒していた正義系配信者が痴漢を現行犯逮捕した直後、電車に飛び込んで自殺した。その配信者の過去を調べていくと・・・・・・」と書かれています。


アマゾンより
本書について、書評家あわいゆき氏が「小説推理」2025年7月号に、以下のようなレビューを書かれています。
「思わず背後を振りかえってしまうほどの恐怖を感じる『配信ミステリー』。配信された動画を視聴するとき、画面の向こう側には同じ現実を生きている人間がいる。しかし私たちはそれを現実ではなく、どこか遠くの『コンテンツ』として受け取ってはいないだろうか? あるいは別の言い方もできる。画面を隔てた距離があるからこそ、配信者は現実をコンテンツとして私たちに振る舞えているのだと。(中略)現実をコンテンツとして配信する──それはときに、配信するつもりのなかった『現実』すらもコンテンツにしてしまう。本作が描くのはカメラを向ける配信者が跋扈することで、二十四時間三百六十五日コンテンツ化してしまった現実だ。そしてその現実を生きる私たちは、提供されたこの物語をはたして画面の向こうにある『遠く』のものとして受け取れるのだろうか? 次にカメラを向けられ、『コンテンツ』として消費されるのはあなたかもしれない──背後を振りかえらずにはいられない名作が揃っている」
本書には5つの連作短編小説が収められていますが、そのストーリーを紹介するのはネタバレにつながるので、やめておきます。ただ、わたしは本書に登場するような動画配信者というものが大嫌いであることを再確認しました。動画配信で誹謗中傷や他人の批判を繰り返し、アクセス数(再生回数)を稼ぐ行為は、「アテンション・エコノミー(関心経済)」や「レイジベイティング(怒りを煽る行為)」と呼ばれ、国内外で大きな社会的課題となっています。人間は怒りや正義感の感情を刺激されると動画を拡散・共有しやすいといいます。また、視聴維持率やコメント数が多い動画(=炎上している動画)を、プラットフォームのAIが「有益な動画」と誤認しておすすめに表示するのです。
再生回数が伸びることで、配信者に多額の広告収入や投げ銭が転がり込みます。他人の不祥事やバイトテロ、事件に対して過激な言葉で非難し、野次馬的なアクセスを集める配信者もいます。また、選挙時などに特定の政党や候補者を過激に批判する動画が、平均的な動画に比べて数倍の再生数を稼ぐ事例が目立ちます。さらには、レイジベイティングといって、意図的に不快な発言や差別的な表現を行い、視聴者を怒らせてコメント欄を荒れさせることでアルゴリズムを味方につける手法も盛んになっています。まったく、このような動画配信は「百害あって一理なし」であり、当局も「侮辱罪の厳罰化」などを検討しているとか。
ブログでも動画でも、何かのメッセージを伝えるべく世の中に発信することは悪いことではありません。でも、それが匿名ブログで他者の誹謗中傷を繰り返すなどの行為は社会にとって害悪となります。動画でも多くは匿名で怪しげな情報を発信しています。わたしは自身が主役として活動する「いわゆる専業ユーチューバー」ではありません。しかし、わが社公式YouTubeチャンネルや、関連する動画コンテンツには積極的に出演しています。 サンレーの公式YouTubeなどを通じて、わたしの「天下布礼」という経営哲学に関連する考え方や言葉ついての動画を随時公開しています。「少しでも社会が良くなりますように」という世直しの祈りを込めて発信し続けています。