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No.0299 人間学・ホスピタリティ 『人生二度なし』 森信三著(致知出版社)
2011.03.21
『人生二度なし』森信三著(致知出版社)を再読しました。
「哲人教育者」と呼ばれた森信三が、中学あるいは高校を卒業後に社会に出て働いている人たちのために書いた本です。広く一般の人々にも読まれてきたそうです。
人生そのものについて考えるべき基本的な問題が書かれているからでしょう。
人は何のために生きるか
本書の最後には、「人生二度なし」と題された有名な講演録が掲載されています。
昭和36年に「職業訓練所」で学習している青少年のためになされた講演です。
森信三は、まず「どうぞ諸君、ゆっくりと、固くならないように聞いて下さい」と生徒たちに呼びかけた後、技術を身につけて「学歴にたよらぬ生き方」の尊さを説きます。
しかしながら、その上で「教養とたしなみ」の重要性を強調し、ついには「人生二度なし」という自らの人生観の根本を次のように示すのです。
「この人生というものは、二度と繰り返すことのできないものである。だからわれわれは、自分がもって生まれた能力を、ぎりぎりのところまで発揮した上で棺桶に入るというくらいの意気込みがなくてはいけない」
著者は、卒業後の心得にまで配慮し、訓練所を出たら必ず専門の雑誌を2種類は読むこととか、スポーツ新聞や週刊誌を絶対に読まないこととか、「岩波新書」を読むと教養がつくとか、25歳まではタバコを吸わないこととか、実に細かいところにまで生徒たちにアドバイスしています。
父親が自分の本当の子どもに対するように。「哲人教育者」がまるで故郷の親父のような温かさを持っていたことを知り、わたしは大きな感動をおぼえました。
それにしても、「人生二度なし」という言葉の重みを噛み締める今日この頃・・・・・。
わたしは、二度とない今生を「天下布礼」に捧げる覚悟です。
すなわち、「人間尊重」思想を広めることに尽くしたいと思います。