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No.0300 人間学・ホスピタリティ 『真理は現実のただ中にあり』 森信三著(致知出版社)
2011.03.21
『真理は現実のただ中にあり』森信三著(致知出版社)を再読しました。
「哲人教育者」として名高い森信三の講話録です。
その内容は、じつにバラエティに富んでいます。
20世紀最後の哲学者の講話録
たとえば小学生には「人生二度なし」、中学生には「全力をあげて生きる」、大学生には「人生を生きる態度」、新人教師には「生を教育に求めて」といった演題で、聴く者の魂にエネルギーを与えるようなメッセージを送っています。
わたしは、個人的に「親自身のしつけから~家庭教育の極意」なる講話が最も興味深かったです。著者は「親として一番大事なことは何か」と問いかけます。
なかなか即答しにくい問題ですが、著者は真摯にその答を説きます。
第1に、子どもの気持ちの察しのつく親になるということだそうです。
年頃の子どもの場合には、毎日鼻をつきあわせていても、相手が何を考えているのか、自信を持ってつかんでいる親はまずいません。
しかし、それが一向に気にならないようでは親として失格なのです。
第2に、怒らぬ親になることだそうです。ちょっと意外な感じもしますが、講演当時は親に叱られて子どもが自殺する事件が続発していたとか。
「親だからえらい」のではない。たとえ親といえども感情で叱ったり、わが子に間違ったこと、無理なことを押し付けてはならない。著者は、そう訴えます。
しかし、躾も忘れてはいません。第3に、20歳までの子どもには、毎朝親にあいさつするような躾をすることが必要であると言います。
これが、人間としての基本だというのです。
以上、シンプルかつ実践的な家庭教育論です。
わたしは、著書の教育論に全面的に共感し、大いに学ばせていただきました。
ところで講話録に、やたらと(児童爆笑)とか(一同笑)が出てくるのは意外でした。
「哲人教育者」は、どうやらユーモア満点の人物だったようですね。