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2014.07.22
新しく刊行されたばかりの本が届きました。といっても、わたしの著書ではありません。佐久間進著『人間尊重の「かたち」』(PHP)です。著者はサンレーグループ会長であり、わたしの父でもあります。
タイトルにある「人間尊重」は、 かの出光佐三翁の哲学を象徴する言葉です。佐久間会長が若い頃、地元・北九州からスタートして大実業家となった佐三翁を深く尊敬しており、その思想の清華である「人間尊重」を自らが創業した会社の経営理念としました。以後、サンレーグループのミッションとなっています。
冒頭には、佐久間会長のカラー写真が・・・・・・
サブタイトルは「礼の実践五十年」となっています。これは、出光佐三翁の著書『人間尊重五十年』を連想させ、そのまま佐三翁へのオマージュとなっています。本書の帯には、佐久間会長の写真とともに、「本当の幸せとは何か―サンレーグループ会長、感謝の達人が語る 『礼』の神髄」と書かれています。
「師との出会い」を語る
「まえがき」
プロローグ 私の『幸福論』
◆ 神様からのお灸?
◆ 師との出会い
◆ この世での善行次第
◆ 二つの幸せがある
◆ 人生の春夏秋冬で【幸せ】は異なる
◆ 幸福とはポジティブに生きること
◆ 本当の幸せとは
◆ 年をとって分かること
◆ 幸せの基準は【足るを知る】
◆ 【はひふへほの法則】
◆ 【そ・わ・かの法則】
◆ 幸福に生きる条件
◆ 幸福に生きる【十の心得】
◆ 天命を知る
互助会業界の歩みを振り返る
第1章 冠婚葬祭という事業の使命
◆ 支え合う社会の構築
◆ 互助共生社会を見直すこと
◆ 「近助」という発想
◆ 注目される【結】と【講】
◆ 高齢者のいるべき【座】をつくる
孔子文化賞について
第2章 礼の実践
~理想の事業を目指して
◆ 出光佐三との出会い
◆ 戦後すぐに始まった互助会
◆ 新制度が必要
◆ ある先人の葬儀に参列して
◆ 二代目・三代目に期待すること
◆ 孔子文化賞を受賞
◆ サンレー 以前の社名
◆ 社会貢献活動【三施】
◆ 大実業家が持っていた【利他の精神】
◆ 【大家族主義】
◆ 皆が仲良くして力を合わせること
◆ サムシング・グレート
「和」のこころを考える
第3章 日本人の「和」のこころ
◆ 日本をつくったのは聖徳太子
◆ 神道と仏教
◆ 十七条の憲法と冠位十二階
◆ 隋の皇帝が激怒した理由
◆ 現代と似た時代を生きた聖徳太子
◆ 【和】の精神ルーツ
◆ 【和】の精神は儒教?
◆ 日本の宗教の役割
◆ 他の宗教とどこが違うのか
◆ 産霊の神の下に平和が生み出される
◆ 【和】の精神を輸出したい
◆ 出雲大社はわが社の「ふるさと」
◆ 日本の人DNA
◆ 式年遷宮で見直される日本の神話
◆ 天道館という大遷宮
◆ 安倍首相が語った【和】
◆ 野村監督の意見
◆ スポーツと日本人
◆ なでしこジャパンの力になったもの
◆ 【和】のつくり方
◆ 【倭】を【和】にした聖徳太子
◆ やがて武士道へ
◆ 沖縄魂とは何か
◆ 八重山グランド・ゴルフに学ぶ
◆ 五つの心得
◆ ミャンマー仏教の「慈経」
ミャンマーとの出会い
第4章「支え合う社会」をつくろう
~森とミャンマーという2つのプロジェクト
(1)森のプロジェクト
◆ 宮脇昭名誉教授の話
◆ 鎮守の森の力
◆ 日本人と森の関係
◆ 魂の森=希望の森が必要
◆ 【鎮魂の森】づくりを目指して
◆ 三〇〇〇万本の木を植えた男
◆ 二〇年をかける使命
世界平和パゴダの支援へ・・・・・・
2)世界平和パゴダ
◆ パゴダへの思い
◆ 【世界平和パゴダ】の前に立って
◆ 門司とのフシギな縁
◆ 将来性があるミャンマー
◆ ミャンマーの魅力は【安心】
◆ パゴダの役割
◆ 支合わせと仕合わせ
◆ ミャンマー仏教の魅力
◆ ミャンマー訪問記
◆ サンレー でのお別れの会
◆ 再開を使命と感じて
◆ 日本が大好き
◆ ミャンマーでの大歓迎
◆ ミャンマーのパゴダ
◆ 人との出会いの大切さ
◆ ミャンマーに普及させたい保険
「江戸しぐさ」について
第5章 サンレー 式ホスピタリティの神髄
◆ 佐久間心学
◆ 現代に蘇らせたい「江戸しぐさ」
◆ 寺子屋の文化
◆ 現代風にアレンジ
◆ 挨拶の重要性
◆ 【八美道】のすすめ
◆ 「花は桜木、人は武士」
◆ 世界に発信した【武士道精神】
◆ 石垣島の教え
◆ 陽に変えていくことを習慣に
◆ 察する力
◆ 求められる人間像
◆ 感謝力が問われる
◆ 問題意識を持つ人間
◆ サンレー のミッション
◆ 五つの行動が基本
「読書」についても語る
第6章 サンレー 式ホスピタリティの実践
~気遣いからホスピタリティへ
◆ 礼の実践の必要性
◆ 日本人の国民性
◆ 日本的気遣い
◆ 日本的気遣いの実践
◆ 産霊と日本の国民性
◆ 思いやりと察し
◆ 【ありがとう】の力
◆ 粋の文化
◆ 「江戸しぐざ」に学ぶ
◆ 子育ての教え
◆ 小笠原流礼法に学ぶ
◆ 無財の七施
◆ 【うたし焼き】の極意
◆ 本を読む素晴らしさ
◆ 渡部昇一先生の教え
◆ 産霊=天道=サムシング・グレート
◆ 「さしすせそわか」の法則
◆ 食生活の実践
◆ 感性を磨く
◆ 老舗旅館三家のもてなし
◆ 「四箇院」という発想
◆ 現代に蘇った「四箇院」
平成の寺子屋「天道館」にて
エピローグ 世界人類平和への道
◆ 人類の危機を救うには
◆ 人の価値は何で決まるか
「あとがき」
◆天道館を再建して
◆ 新しい天道館の役目
◆ 何を教えていくか
◆ 天道館にあるもの
ミャンマーでの写真から「まえがき」へ
「まえがき」で、佐久間会長は以下のように書いています。
「私が経営する冠婚葬祭業を生業にする会社(株式会社サンレー)では、『人間尊重』を経営の基本理念に掲げています。この言葉は50年ほど前、私がまだ若かりし頃にであったものです。
『社会とは人間が集まってできたものであるから人間は互いに仲良くすると、そして力を合わせることが大切です。それは人間の尊厳だからです。平和の基です。人間の美しさでもあります。私はそれを人間尊重と言っております』この言葉は、北九州市門司港から身をお起こし、世界の石油王とまで言われた出光佐三のものです。出光の資料館で出会い、感動を覚え、事業に活かさせていただきました。私の人生を振り返る時、礼の実践を通して、『人間尊重』とはどういう『かたち』になるのかを社会経営、社会貢献の中で目指してきたのではないか、そんな思いがしています」
『人間尊重五十年』と『人間尊重の「かたち」』
「人間尊重とは、人と人とがお互いに仲良くし、力を合わせることです。互いに助け譲り合う『互譲互助』『和』の精神は、神道の根幹を成すものであり、自然と人間の調和こそが日本人の精神形成の基になっています。
今、日本では『無縁社会』などという言葉が取り沙汰されるほど人間関係の希薄さが進行し、日本は、日本人はダメになってしまうのではないかと危惧していました。ところが、2011(平成23)年に発生した東日本大震災で、日本は素晴らしい国民性を持っていることが再確認できました。
あれだけの震災を受け、自分自身がこの先どうなるか分からない、死ぬかもしれない中で、暴動や略奪が起こらず、お互いが助け合い・支え合い・励まし合って生きようとする見事な姿勢。
あれだけ追い詰められて先が見通せない時に秩序を守り、礼儀正しく、一杯の炊き出しごはんをいただくにもきちんと整列して何時間でも待っている姿。これには世界の人たちが日本人は大したものだと驚嘆し、称賛してくれました。他国ではあり得ない姿だったようです」
天道館で話す佐久間会長
「私ども冠婚葬祭互助会が掲げてきた、『互助社会をつくろう!』『共生社会をつくろう!』『支え合う社会をつくろう!』という最終目的は、まさに日本人が持っている一番の特徴を表しているのではないでしょうか。わが社はそれを長年にわたって言い続けてきました。
東日本大震災後、『絆』という言葉がクローズアップされています。絆とはまさに人と人の結びつきです。かつて絆を大切にしてきた日本人の心が覚醒し、お互いに助け合うこと、支え合うことが再認識され、われわれ冠婚葬祭互助会に対する評価も必ず上がってくると思います。
そして『支え合う』ということを大きな柱に据えたいと思います。『助け合い』から『支え合い』へ。冠婚葬祭を通して、もう一度人と人との絆を結び直せないかと思っています。本格的にわれわれの目指す仕事がいよいよできるのではないかと、楽しみに感じているところです。
人間尊重を経営の軸に、50年にわたり礼を実践してきました。私も齢80を迎えます。事業の節目、人生の節目を迎えるにあたり、次のステップへのきっかけにするべく、本書を記しました。次世代に向け、本書が何かしらのヒントになってくれれば幸いです」
天道館の竣工式で佐久間会長と
息子であるわたし自身、この本は佐久間会長の人生と哲学が凝縮された好著であると思いました。ブログ「創業守礼と天下布礼」にも書いたように、これからの企業には「アップデート」とともに「初期設定」というものが求められます。47年前、佐久間会長は万人に太陽の光のように等しく冠婚葬祭のサービスを提供したいと願って、サンレーを創業しました。
佐久間会長こそは、わが社の「初期設定」を行った本人です。わが社の「初期設定」を確認する上でも、佐久間会長の言葉を振り返ることができるという意味でも意義ある一冊であると思います。
さらには、サンレーだけでなく、冠婚葬祭互助会事業の「初期設定」もこの本にはふんだんに書かれています。いま大きな曲がり角を迎えている互助会業界にとって、一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)の初代会長でもある佐久間会長の言葉は大きな指針となるのではないでしょうか。
本書は、7月19日より全国の書店で発売されています。どうぞ、御一読下さいますよう、お願いいたします。