No.1346 経済・経営 『200年企業』 日本経済新聞社編(日経ビジネス文庫)

2016.11.15

『200年企業』日本経済新聞社編(日経ビジネス文庫)を再読しました。
わがサンレーの創立50周年がいよいよ近づいてきたので(11月18日)、さらなる永続企業となるヒントを探るべく読み返したのです。2010年1月5日に刊行されており、現在は続編がパート3まで出ています。

本書の帯

本書の帯には「江戸時代から今日までどんな革新を経て、生き抜いてきたのか」と書かれています。カバー裏には以下のように書かれています。

「不況で倒産が相次ぐ一方で、日本には創業200年を超える企業が3000社以上ある。江戸時代から今日まで生き抜く長寿企業が、伝統を守りながら、時代や経営環境の変化に対処し、数々の困難を乗り越えてきた秘訣をルポ。日本経済新聞の人気連載を文庫化」

本書には70社の200年企業が紹介されていますが、「目次」は以下のような構成になっています。

「はじめに」
第一章 壊して創る物語―経営者はひるまず挑む
第二章 世紀をつなぐガバナンス―ぶれない軸
第三章 地域とともに―「利より信」を実践
第四章 ヒトこそ資産―育てて価値を作る
第五章 イノベーション(1)―企業家精神で長寿に挑む
第六章 イノベーション(2)―危機を乗り越える
第七章 コアに専心―妥協しない
第八章 リーダーシップに学ぶ―経営力を磨く
第九章 オープンな経営―透明性を高める
第十章 ネットワーク―老舗と開放型の融合

「はじめに」では、以下のように書かれています。

「日本は歴史の長い企業が世界の国・地域のなかでも突出して多い。ファミリービジネスに詳しい後藤俊夫・光産業創成大学院大学(静岡県浜松市)教授の08年4月時点の調査では、日本には創業200年以上の企業が3113社と世界で最も多い。2位のドイツ(1563社)、3位のフランス(331社)、4位の英国(315社)などを大きく引き離している。その後も後藤教授は長い歴史を持つ企業の調査を続けており、日本にある創業200年以上の企業は3500社ほどに達しているという」

それでは、200年企業にはどういう業種が多いのでしょうか。

「08年4月時点での3113社を業種別にみると、最も多いのは『酒造』で447社、次いで『旅館』が425社。以下、『民芸・工芸』(339社)、『和菓子』(304社)、『食品』(291社)、『料理店』(185社)とつづく」

わたしは旅館ほど経営の難しい商売はないと思っているので、200年以上も続いている旅館が425社もあるというのが信じられません。

日本最古の旅館「法師」の入口で

わたしのブログ記事「法師」で紹介したように、わたしは日本最古の旅館に宿泊したことがあります。なんと創業718年で、1300年以上も続いているのです!
しかし、宿泊はしたものの、「なぜ長く続いているのか」という理由はまったくわかりませんでした。さらに謎は深まりました。

1300年続く旅館「法師」の玄関

「はじめに」には、以下のようにも書かれています。

「なぜ日本に、歴史の長いいわゆる『老舗』企業が多いのかという問題は、解をみつけるのが難しい。あえて答えをあげるとすれば、ひとつは自然が豊かな国だから、ということだろうか。青森県の三内丸山遺跡からもわかる通り、縄文時代の昔から、森林や海、川などの自然は多種多様な食材や生活用品の材料を日本にもたらしてきた。それらを素材に、加工・販売する営みが早くから盛んになり、明治時代以降、家業から会社組織に衣替えして現在に至っているところが少なくない。200年以上の企業の業種別内訳をみても、そのことは裏付けられるだろう。水がきれいな国であるという点も大きい。酒造業が古くから発展してきたのは、そのおかげに違いない」

ですから、酒造や食品加工はわかるとしても、旅館はなぜ?

創業家の存在には秘密がありそうです。第一章「壊して創る物語―経営者はひるまず挑む」には、創業家について以下のように書かれています。

「『創業家』には特有の力がある。歴史に安住するか、伝統を革新のバネとするか。生かし方次第で会社の未来は大きく変わる。『創業家の後継者がいない会社の再生は引き受けない』。大証2部上場の食品会社ジャパン・フード&リカー・アライアンス(JFLA)の小林武司社長はいう。日本酒やしょうゆメーカーの再生を手掛けた経験で得た『成功の方程式』だ」

それから、長く続くには養子の存在も見逃せません。
養子については、以下のように書かれています。

「老舗企業には養子の経営者が力を発揮し、会社を生き永らえさせてきた例が少なくない。創業家の一員になった養子トップには使命感が生まれ、創業家以外に後継者候補を広げることで経営力のある人材を起用しやすい。『同族であって同族でない』事業承継は、『200年企業』の知恵だ」

本書を読み終えて、「うーむ、養子か・・・」とつぶやく自分がいました。
サンレー創立50周年まで、あと3日!

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