読書論・読書術 『おひとりさまの親と私の「終活」完全ガイド』 日経WOMAN別冊

2020.05.08

小倉のサンレー本社の社長室に行くと、机の上に書籍小包がありました。開けると、日経WOMAN別冊『おひとりさまの親と私の「終活」完全ガイド』という本が入っていました。わたしがインタビュー取材された本です。

シングルでも、結婚していて子どもがいても、女性は人生の終盤に「おひとりさま」になる可能性が高いのが事実。「人生後半の危機」に備えて今からできることと、いざというときに必要な知識をたっぷり盛り込んだ1冊です。本書は、1「おひとりさまの人生後半の生き方&終活」、2「親と私の介護・墓・住まい対策」、3「人生後半の『危機』の乗り切り方」、4「親が亡くなった後にやるべきこと」の4つのPARTに分かれていますが、わたしは、PART2の「どうする? 親と自分の墓支度」「『家』の墓から『個人』の墓へ」を語りました。お墓を継ぐ人が減り、実家や自分の墓をどうしたらいいのか迷う人が増えています。一方で、墓石のない埋葬方法も増え、お墓の在り方も変わってきました。これからの「お墓」問題と向き合う方法を考えてみました。

本書には、以下のように書かれています。
「童話『青い鳥』でチルチルとミチルが訪れた”思い出の国”。そこで兄妹は亡くなった祖父母に出会いますが、その思い出の国を形にしているのが『お墓』だと思います」。墓や葬儀に詳しい一条真也さんはそう語る。「残された人が亡くなった人をしのぶ場所としての『墓』があることで、気持ちを切り替えられ、心のバランスが取れるのでは」と、一条さんは考えている。だから「墓は要らない」という風潮は憂えるが、墓の在り方を今の時代に合うよう変える必要性も感じている。

一口に「墓」といっても、今やその選択肢は広い。「自分のお墓をどうしようと考えるようになったのは、そんなに古いことではありません。以前は先祖代々の墓があり、そこに自分も入れば、死後も供養され続けるというのが大きな安心感となってきたからです」。しかし、地域や家意識が希薄になったこと、自分らしい墓や埋葬方法など「個」を重んじるようになったことに合わせて、選択肢が増えてきた。墓の承継者がいなかったり、墓が普段の生活圏とかけ離れたところにあるため、先祖代々の墓に参りたくてもできなかったりという事情も絡む。

墓や埋葬方法の形態の違いは費用にも跳ね返る。一条さんは「お金をかけるかどうかより、気持ちが大切。ただ、墓や納骨堂のような拝む対象がない場合は、何をお参りしたらいいのかという心のよりどころが曖昧になりやすい」と注意を喚起する。これからの埋葬の在り方として、一条さんは「月面葬」を挙げる。「月に遺骨を置くことが可能になり、世界中どこからでも夜空の月に手を合わせれば理想の供養になる」からだ。

人生の修め方』(日本経済新聞出版社)

親と自分の墓を考えるとき、「残された人に迷惑をかけたくない」と思う人も多いが、「残される側の気持ちもあるので、最初は意見が食い違っても話し合うしかない」と一条さん。まず自分がどんな墓が欲しいかを考えると、親にも話を聞きやすくなる。「墓について考えることは面倒で無駄に見えて、自分のルーツに思いをはせるきっかけにもなります」。なお、本書にも紹介されていますが、ここで語ったことは拙著『人生の修め方』(日本経済新聞出版社)の内容に基づいています。本書と併せて、ぜひご一読下さい!

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