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No.0480 マーケティング・イノベーション | 人間学・ホスピタリティ | 経済・経営 『ホスピタリティ・カンパニー』 佐久間庸和(三五館)
2011.11.01
11月になりました。いよいよ、わが社の創立45周年の記念月です。
そしてついに、『ホスピタリティ・カンパニー』(三五館)の見本が出来ました。「サンレーグループの人間尊重経営」というサブタイトルがついています。著者ですが、「一条真也」ではなく、「佐久間庸和」となっています。
本名では2冊目の著書になります
ペンネームでは多くの著書を上梓しましたが、本名、そして、サンレーの社長としては、『ハートフル・カンパニー』(三五館)に続く2冊目の出版となります。同書は上下2段組で440ページという大部の本にもかかわらず、幸いにして多くの方に読んでいただけました。また、同書はわが社の創立40周年の記念出版でした。今回の『ホスピタリティ・カンパニー』は、45周年記念出版になります。
「ハートフル」から「ホスピタリティ」へ
わたしが2001年10月に代表取締役社長に就任してから丸10年が経過し、わが社も無事に45周年を迎えることができました。これも、ひとえに社員各位、関係者のみなさま、そして、何よりもサンレー会員様、お客様のおかげです。心より感謝いたします。
本書『ホスピタリティ・カンパニー』に収録されている文章は、わたしが社員のみなさんの前で話したメッセージです。いわゆる「社長訓示」と呼ばれているものですね。すべてのメッセージは毎月の社内報に掲載してきました。
また、わたしのホームページ上にも「マンスリーメッセージ」としてアップされています。社内向けのメッセージを外に向けてもオープンにしているわけです。いわば、「公開社長訓示」と言えるでしょう。もちろん同業者にも読まれるわけですから、ある意味ではリスクの高い行為であることは重々承知しています。
しかし、これには、理由があります。多くの方々に「サンレーの社長はこんなことを言っているが、現場では本当に実践できているのか」とチェックしていただきたいのです。いくら社長が口でうまいことを言ったとしても、お客さまと接する現場で生かされていなければ何にもなりません。それを、ぜひ見ていただきたいのです。
実際、「ちゃんと実行できているね」とお褒めの言葉をいただくこともあれば、「あそこの施設では、社長の考えと反対のことをやっているよ」とお叱りの言葉をいただくこともあります。どちらも、ありがたいアドバイスであり、本当に感謝しています。
また、最近ではホームページでの「公開社長訓示」を同業他社の経営者や社員の方々もよく読んでくださっているようです。自社での朝礼やスピーチなどで使わせてもらったという声もよく頂戴します。わたしの言葉が、またわが社の取り組みが何かのヒントになれば、こんな嬉しいことはありません。
そういった方々の「ぜひ、1冊の本にまとめてほしい」という声をたくさん頂戴しました。そこで、45周年の記念ということもあり、本書の上梓を決めた次第です。
本書の「目次」は、次のようになっています。
「まえがき」
第1章 不惑からの出発―2006年12月
助け合いは、人類の本能だ! 互助会から互助社会をつくろう!
第2章 「こころ」を「かたち」に―2007年1月~12月
使命と志のM&A戦略 サンレーのお家芸で必勝宣言!
愛する人を亡くした人へ 悲しみを癒すグリーフケアを
すべてのセレモニーは卒業式 冠婚葬祭業は、さようなら産業だ!
会社は社会のものである そして、仕事ほど面白いものはない!
教養こそ真の富である 大いに心を太らせよう!
江戸しぐさに学び サンレーしぐさをつくろう!
挨拶が心の窓を開く 愛語で相手を元気にしよう!
自助・扶助・互助の三位一体で 弱気を助ける社会をつくろう!
掃除を続ければ商売繁盛 そして、自分の心も磨かれる!
本を読めば時間ができる 読書で大いに自分を高めよう!
苦情は最高の贈り物 されど、クレーマーには要注意!
信条のある企業だけが繁栄する サービス業ほど素敵な商売はない!
第3章 天下布礼への道―2008年1月~12月
天下布礼の旗を掲げ 人間関係を大いに良くしよう!
“おめでとう”と”ありがとう”で ハートフル社会を呼び込もう!
真心で接し、誠を尽くそう! そこからサンレー・ブランドが生まれる
大切なものほど目には見えない 役に立つ本当に素敵な仕事とは?
目に見えないものを形にする サービスマンとは魔法使いだ!
人の道から人類の道へ 八大聖人のメッセージとは?
義を見てせざるは勇なきなり 絶対に人の道を忘れるな!
法則さえ知れば何も怖くない これが、サンレーの法則だ!
どうなる?ネクスト・ソサエティ こころの未来を創造せよ!
すばらしきビューティフル・ネーム すべての人を名前で呼ぼう!
良い人間関係こそ最高の贅沢である 隣人祭りを大いに広めよう!
イソップ、グリム、アンデルセン… 童話が大切なことを教えてくれる
第4章 人を幸せにする仕事―2009年1月~12月
人間関係を良くする魔法とは? サンレーは、魔法の総合商社だ!
強欲資本主義の時代が終わる 輝け、ハートフル・カンパニー!
送ること、悼むこと… 「死」は平等で「葬」は芸術だ!
すべてがチェンジを求められている 君たちも変わらなければならない
この苦難の時代をどう生きるか? 禍転じて福と為す発想を!
何が本当の貧困だろうか? こころの大富豪になろう!
血みどろの競争から脱け出し ブルー・オーシャンをめざそう!
世界が日本にあこがれている 冠婚葬祭はクール・ジャパンだ!
あらゆる仕事には意味がある 本当の成果とは何だろうか?
感情労働のプロとして 怒りをどう扱うべきか?
人間の幸福とは何だろうか? 先祖と隣人を大切にするお手伝いを!
本当の情報時代がやって来る 日本人のこころをお世話しよう!
第5章 サンレー12力とは何か―2010年1月~12月
法律力を身につけ、コンプライアンス時代を生き抜こう!
数学力を身につけ、人間をもっと幸せにしよう!
結縁力を身につけ、無縁社会を有縁社会にしよう!
儀式力を身につけ、葬式は必要と言われよう!
情報力を身につけ、こころの時代を創造しよう!
思考力を身につけ、情報の洪水を泳ぎきろう!
創造力を身につけ、お客様に満足していただこう!
実行力を身につけ、現場の問題に対応しよう!
伝統力を身につけ、冠婚葬祭の文化を守ろう!
革新力を身につけ、コミュニティを再生しよう!
観光力を身につけ、他人が発する光を見つけよう!
礼能力を身につけ、思いやりのある人になろう!
第6章 ホスピタリティを極める―2011年1月~11月
いよいよ45周年の年 有縁社会づくりはサンレーの使命
思いやりの時代がはじまる 人情あふれる人間集団をめざそう!
自分だけの喜びを求めず、人にも喜びを分け与えよう!
東日本大震災発生! 今こそ、隣人の時代へ
中部紫雲閣オープン 沖縄力で日本復興を!
危機はつねに近くにある ピンチをチャンスに変えよう!
高まる結婚願望… 大いに家族の絆を強めよう!
8月は死者を思い出す季節 先祖供養は素晴らしき日本文化だ!
長生きを意味ある寿に 隣人祭りで「おくりびと」を増やそう!
前代未聞の社会福祉都市へ 北九州市はハートフル・シティだ!
おかげさまで45周年… これからもホスピタリティを大切に!
「社長のおススメ本リスト」
「一条真也著書一覧」
「S2M MAP」
本書のタイトルですが、『ホスピタリティ・カンパニー』としました。「ホスピタリティ」は今後の会社のみならず、社会全体の最大のキーワードであると思います。キリスト教の「愛」、仏教の「慈悲」、また儒教の「仁」まで含めて、すべての人類を幸福にするための思想における最大公約数とは、おそらく「思いやり」の一語に集約されるでしょう。そして、その「思いやり」を形にしたものが「礼」や「ホスピタリティ」です。
「礼」と「ホスピタリティ」は、わが社のキーワードになっています。洋の東西の違いはあれど、「礼」も「ホスピタリティ」もともに、「思いやり」という人間の心の働きで最も価値のあるものを形にすることに他なりません。「ホスピタリティ」こそは、人類が21世紀において平和で幸福な社会をつくるための最大のキーワードであると言えるでしょう。
わが社は、その「ホスピタリティ」を実践すべく、本業である冠婚葬祭業はもちろん、有縁社会をつくる「隣人祭り」の開催、そして高齢者介護事業としての「隣人館」を展開していきます。5年後の50周年に向けて、あらゆる面から多くの方々が助け合い、支えあい、つながりあい、幸せになれるお手伝いをしていきたいと願っております。
なお、それぞれのメッセージの最後には、内容の要約となる短歌を掲載しています。「庸軒」は、恥ずかしながら、わたしの歌詠みの雅号です。江戸時代に石田梅岩が開き、商人を中心とした庶民のあいだで盛んになった「心学」では、人の道を説くメッセージ・ポエムとしての「道歌」が多く詠まれました。5・7・5・7・7のリズムは日本人の心の奥にまでメッセージを届ける力を持っています。本書に登場する短歌も、けっして芸術性の追求ではなく、社員すなわち読者のみなさんの理解を深めていただくための道歌をめざして詠んだものです。
また、巻末には「社長のおススメ本」というブックリストが掲載されています。これは、毎月の社内報で、わたしがサンレーグループの社員向けに紹介した本の一覧です。こちらは、2003年1月から2011年12月までのおススメ本110冊を一覧にして掲載してあります。これらの本を読んだ社員のみなさんと本の感想について語り合ったことが思い起こされます。本書の「まえがき」の最後には次のような道歌を詠みました。
思いやり形にせんと励みつつ
さらに進むはわれらが社 (庸軒)
「ホスピタリティ」は、佐久間進会長がずいぶん以前から使っていた言葉です。最近でこそ流行語になっていますが、佐久間会長は50年以上も前から日常的に使い、わが社の経営理念にも取り入れていました。
佐久間会長が生まれた昭和10年に日本にYMCAホテル学校が誕生し、「ホスピタリティ」という言葉も日本に入ってきたようです。大学を卒業してからYMCAホテル学校に通った佐久間会長は、その語になじみました。そして、後に社団法人・全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)の初代会長としてアメリカのフューネラル大会において講演した際に、「冠婚葬祭業はホスピタリティ産業である」と述べたそうです。初めて、「冠婚葬祭」と「ホスピタリティ」が結びついた記念すべき瞬間でした。
一般には、ホテル業やレストラン業などをホスピタリティ産業と呼んでいました。佐久間会長が、日本における「ホスピタリティ」の概念を拡大したわけです。
佐久間会長は、社団法人・北九州市観光協会の会長を永く務めました。そのとき、「百万にこにこホスピタリティ運動」をスタートさせ、観光ボランティアなど、市民参加のさまざまな企画を実施し、ホスピタリティが北九州市の大きな魅力として定着するよう、運動を通して全市的にアピールしました。
今年も、「百万にこにこホスピタリティ運動」のポスターが届きました。わが社は「ホスピタリティ・カンパニー」をめざしています。
そして、北九州市が「ホスピタリティ・シティ」となることを願っています。