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No.2196 SF・ミステリー 『変な家』 雨穴著(飛鳥新社)
2022.12.18
『変な家』雨穴著(飛鳥新社)を読みました。2021年の夏に購入していた本ですが、2022年の年末になってようやく読めました。あまりにも面白く、244ページを1時間半で一気読みしました。最近、ページを繰る時間がもどかしいほど夢中で小説を読んだのは久しぶりです。
本書の帯
本書のカバー表紙には二階建ての一軒家の間取り図が描かれ、帯には「30万部突破」「映画化」「いま日本中がこの間取りの謎解きに夢中!!」と書かれています。ちなみに現在は、発行部数が40万部を超えているようです。
本書の帯の裏
帯の裏には、「この家、何かがおかしい。」「間取りに不可解な点」「この部屋、窓が一つもないんですよ。」「奥さんと子供が一人」「左手首」「一人ではないと思います。」「開放的で明るい内装」と書かれています。カバー前そでには、「謎の空間、二重の扉、窓のない子供部屋――間取りの謎をたどった先に見た、『事実』とは!?」と書かれています。
著者の雨穴(うけつ)は、インターネットを中心に活動するホラー作家。ウェブライター、YouTuberとしても活動しています。彼(彼女?)の存在を知ったのは、今年の5月31日深夜0時30分からテレビ東京で開始された新ドラマ「何かおかしい」の原案者としてでした。このドラマの舞台はラジオ局で、ラジオ番組の生放送中のちょっとした違和感が思わぬ悲劇を巻き起こします。単なるホラーやミステリーでは終わらない、リアルタイム進行型ヒューマンホラーです。現在、シーズン2が放送中。
その「何かおかしい」のオープニングの語りとエンディングのダンスで雨穴が登場するのですが、奇妙な白い仮面を被り、服装は全身黒ずくめ。おそらくは男性かと思われますが、ボイスチェンジャーで声も変えられており、謎に満ちています。オモコロのメンバーとして活動を開始し、ウェブライターとしてオカルト系を中心に執筆してきたそうです。本書『変な家』は自身初の著書となりますが、いきなり40万部超えのベストセラーになり、映画化も決定しました。凄いですね! 「変な家」は雨穴のYouTubeにもアップされており、1000万回以上再生。
アマゾンより
アマゾンには、「YouTubeでなんと1000万回以上再生! あの『【不動産ミステリー】変な家』にはさらなる続きがあった!!」として、「謎の空間、二重扉、窓のない子供部屋――間取りの謎をたどった先に見た、『事実』とは!?」「知人が購入を検討している都内の中古一軒家。開放的で明るい内装の、ごくありふれた物件に思えたが、間取り図に『謎の空間』が存在していた。知り合いの設計士にその間取り図を見せると、この家は、そこかしこに『奇妙な違和感』が存在すると言う。間取りの謎をたどった先に見たものとは……。不可解な間取りの真相は!? 突如消えた『元住人』は一体何者!? 本書で全ての謎が解き明かされる!」と書かれています。
アマゾンより
本書の「目次」は、以下の通りです。
第一章 変な家
第二章 いびつな間取り図
第三章 記憶の中の間取り
第四章 縛られた家
アマゾンより
『変な家』には、ある家系にまつわる奇妙な儀式が登場します。ホラーやミステリーに出てくる儀式というものは、世にも恐ろしい儀式というのが相場ですが、本書の場合もそうでした。書名を『変な家』ではなく『変な儀式』としてもよかったと思います。ミステリーとしては何重にも入れ組んでおり、次の展開が予想できませんでした。でも、犯人の「動機」があまりにもリアリティに欠けるのと、くだんの儀式が頭のおかしい狂人しか行わないようなイカレた内容だったことに違和感が残りました。まあ、世の中、カルト教団の儀式などもイカレていますけどね。本書には新しい家だけでなく、古い家も登場します。
アマゾンより
「これは、ある家の間取りである。」という一文から始まる建築設計ミステリーというのは新鮮でした。このブログをお読みの方ならよくご存知のように、わたしはホラーやスリラーやミステリーが大好きです。小説でも映画でも、古今東西の作品に目を通しているつもりでしたが、本書『変な家』のアイデアには「やられた!」と思いましたね。仕事では、日常的に冠婚葬祭施設などの間取り図を手に取っていますが、間取り図1つでこんな面白い話が展開できるとは思いませんでした。長女のお婿さんが一級建築士で読書好きなので、彼にも本書を薦めたいと思います。(その後、彼はすでに読んでいたことが判明しました!)