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2013.06.18
『あした死ぬかもよ?』ひすいこたろう著(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を読みました。
非常にインパクトのあるタイトルですが、サブタイトルは「人生最後の日に笑って死ねる27の質問」となっています。帯には、「この本を手に取った日が、今の自分の命日。明日からは新しい自分で生きる。」「『いつかやれたらいい』そう思っているものを、今日から始める。『これをやっておけばよかった』そう後悔しているものを、今始めるんです。」「シリーズ累計60万部突破名言セラピーシリーズ ひすいこたろう最新刊!」と書かれています。
また前そでには、次のように書かれています。
「あなたはいま生きている。
それ以上の奇跡などありません。
いつか死ぬ身であることを心に深く刻めば、
今日という1日が、いかに可能性にあふれ、
うれしく、ありがたく、いつにもまして
輝きはじめることに気づくでしょう。」
著者は新潟県出身で、作家、コピーライター、漢字セラピストです。 日本メンタルヘルス協会の衛藤信之氏から心理学を学び心理カウンセラー資格を取得。『3秒でハッピーになる名言セラピー』がディスカヴァーMESSAGE BOOK大賞で特別賞を受賞しました。その他、多くの著書があり、現在は27000人が読む『3秒でHappy? 名言セラピー』をネットで無料配信しています。
本書の装丁などから、最初はよくある軽薄な自己啓発本を連想したのですが、実際に読んでみると、非常に真面目でストレートな本でした。自己啓発書と言われれば、まあその通りなのですが、「死」という重いテーマを、ここまで軽やかに語るのは素晴らしいと思います。
本書の構成は、以下のようになっています。
「人生を終える日、どんな気持ちになっていたら最高ですか?」
第1章:後悔なく生きる
しつもん0「人生最後の日、なにに泣きたいほど後悔するだろう?」
しつもん1「あと何回桜を見られるだろう?」
しつもん2「どんな制限を自分にかけているだろうか?」
しつもん3「あなたが両親を選んで生まれてきたのだとしたら、その理由はなんだろう?」
しつもん4「あなたの人生は、100点満点中、いま何点?」
しつもん5「失う前に、気がつきたい幸せはなんですか?」
しつもん6「これだけは失いたくないものベスト5は?」
しつもん7「いま抱えている悩みは、たとえ人生最後の日であっても、深刻ですか?」
第2章:ドリーム(夢)を生きる
しつもん8「あなたにとって理想の人生とはなんでしょうか?」
しつもん9「あなたは、なにによって憶えられたいですか?」
しつもん10「自分のお墓に言葉を刻むとしたら、なんて入れる?」
しつもん11「あなたの死亡記事が出ます。なんて書かれたい?」
しつもん12「あなたの大切な友だちが、どんな夢を持っているか、知っていますか?」
しつもん13「『いつかやる』。あなたの『いつか』はいつですか?」
しつもん14「死ぬ前にやりたいことリスト10は?」
第3章:ミッション(志)を生きる
しつもん15「あなたが生きることで、幸せになる人はいますか?」
しつもん16「なんのために、この命を使いたい?」
しつもん17「おじいちゃん、おばあちゃんの名前をちゃんといえますか?」
しつもん18「あなたでないとできないことって、どんなことですか?」
しつもん19「死後、あなたは、誰の記憶に残るだろう?」
第4章:ハートの声(本心)で生きる
しつもん20「あなたがほっととするときはどんなとき?」
しつもん21「半年後に死ぬとしたら、いまの仕事をやめる?」
しつもん22「誰になろうとしているんですか?」
しつもん23「もし今日が人生最後の日だとしたら、今日やろうとしていたことをする?」
しつもん24「今日飲むお茶が最後のお茶だと思ったら、いままでとなにが変わる?」
しつもん25「なにもかも大丈夫だとしたら、ほんとは、どうしたい?」
しつもん26「これまでの人生で一番うれしかったことはどんなこと?」
ラストメッセージ
しつもん27「理想の人生を生き切った『未来のあなた』が、『今日のあなた』にメッセージを贈るとしたらなんと伝える?」
要するに、「今日が人生最後の日と考えて、ベストを尽くそう」「死んでから後悔しても遅いので、今やろう」という気にさせる質問が並んでいるのですが、このような質問自体はよくあるもので、珍しくはありません。しかし、ここまでオンパレードというか波状攻撃で質問されると、「いま、生きている」ことが奇跡のように思えて、とても有難く感じられてきます。
また、質問だけでなく、本書の中には数々の名言が散りばめられており、それを受ける著者のメッセージも熱いです。たとえば、本書の冒頭にある「もっと冒険しておけばよかった」で、著者は次のように書いています。
「どういうわけか、人は『自分だけは死なない』と思っています。
『死ぬのはいつも他人ばかり』。
画家のマルセル・デュシャンが、そう墓碑銘に刻んだように。
でも、残念ながら、僕らが死にいたる可能性は100%です。『オギャー』と、うぶ声をあげた瞬間から、1秒1秒、いまこの瞬間も死に近づいています。
かつてサムライたちが、あれだけ潔く、情熱的に生きられたのは、『自分はいつか死ぬ身である』という事実から目をそらさずに、『この命を何に使おうか』と、日々心を練っていたからです。
死をやみくもに恐れるのではなく、サムライたちのように、死を、ちゃんと、『活用』しませんか?」
しつもん4「あなたの人生は、100点満点中、いま何点?」では、著者は次のように述べます。「実は、思いどおりにいかないからこそ、人生は面白いんです。サッカーが面白いのは、手を使ってはいけないから。ゴルフが面白いのは、ボールを手に握りしめて、手で穴にねじ込んじゃいけないから。なんでマラソンが感動するか知っていますか? 42.195km、車で走っちゃいけないから、感動するんです。車で42.195km走ったら、『あ、そう』っていわれるだけです(笑)」
しつもん13「『いつかやる』。あなたの『いつか』はいつですか?」では、こう述べます。「江戸時代の平均寿命を調べてみました。38歳前後でした。続いて縄文人の平均寿命も調べてみました。なんと、14.6歳だそうです。当時は、乳幼児死亡率がとても高かったので、このような年齢になるわけですが、それをさしひいても、縄文人は平均31歳ぐらいの寿命だったそうです。いまは31歳で亡くなったら、早死で不幸だといわれます。だとするなら、縄文人はみな不幸だったということになります」
しつもん19「死後、あなたは、誰の記憶に残るだろう?」では、こう述べます。「目が見えないカップルの方々は、ずっと相手の顔を触っているのだそうです。『相手の顔を1秒でもいいから見たい』というのが彼らの夢なんです。小児ガンの病棟にいる子どもたちの夢は、『お父さんとお母さんとラーメン屋に行きたい』『家に帰りたい』『大人になりたい』というものです。
しつもん23「もし今日が人生最後の日だとしたら、今日やろうとしていたことをする?」では、こう述べます。「サムライとは、『いかに死ぬか』。つまり、『この命を何に差し出すか』ということを、いつも問うていた人たちだったと。武士道の聖典といわれる『葉隠』の中でも、『武士道というは、死ぬことと見つけたり』とあります。死があるからこそ、命の尊さに気づき、命の使い方に真剣になれるのです。完全に死ぬために、いま、ここ、この一瞬一瞬を完全に生きよと。そして、いつか死ぬ身であることを日ごろからハラに落としこんでいるからこそ、ここ一番の場面では、人のためにその命を投げ出せたのです」
このように、本書を読んでいるうちに、「ああ、このような考え方もあるんだ」「なるほど、確かにそうだなあ」「もっと気合入れて生きてみようか」と思えてくるような情報やメッセージが満載です。大きな活字で書かれており、余白も多いので、本を読むのが苦手な人でも本書ならスラスラ読めるのではないでしょうか。自分の手元に置いて、毎日、質問を1つづつ自問自答するもよし。大切な人へのプレゼントにするもよし。本書は、そんなライトで新しい「死生観」の本です。
なお、拙著『死が怖くなくなる読書』(現代書林)でも本書を取り上げています。