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No.2482 ホラー・ファンタジー 『この会社は実在しません』 ヨシモトミネ著(KADOKAWA)
2026.07.21
『この会社は実在しません』ヨシモトミネ著(KADOKAWA)を紹介します。一条真也の読書館『イシナガキクエを探しています』で紹介した本がなかなか面白かったので、同じくモキュメンタリー・ホラーを謳った本書を読みました。これまた、なかなか面白かったです。
本書の帯
本書の帯には明らかに生成AIで作られたような笑顔の人々の写真が並んでいます。帯には、「万が一求人募集を見かけてもぜったいに応募しないでください」と書かれています。
本書の帯の裏
帯の裏には、「ある日、私は会社の書庫で『開封厳禁』と書かれた段ボール箱を発見しました。その中にあったのは、会社に関する数々の資料。これからまとめていく文章は、それらの資料を文字起こししたものです。なお、重大な機密情報などは含みません。ただ――とても、異様なだけで。どうか、弊社と私に対するご詮索はおやめください」と書かれています。
アマゾンより
この小説の主人公は、ある会社の新入社員です。総務部に所属する彼は会社の倉庫で多数の文書や記録媒体が入った箱を見つけます。その内容に興味を抱いた彼が小説投稿サイトにその書き起こしをアップしていく中で、少しずつ会社の異常性が明らかになるという物語です。やがて彼自身の周囲にもおかしなことが起こり始めます。これ以上はネタバレになるので控えておきます。
アマゾンより
本書に登場する某社のエピソードはあまりにも現実離れしていますが、「この会社は実在しません」というタイトルを見て思うところはありました。詐欺などを行っている会社が実在しないことは珍しくありませんし、冠婚葬祭互助会などで以前は解約相談室の所在が不明瞭だったり、解約の電話を受け付けない会社などがあったと聞いています。それは、もうその会社が実在しないのと同じではないでしょうか。コンプライアンスが重視されている今は、そんな会社はそれこそ実在しないと信じています。
アマゾンより
あと、会社の存在意義である「ミッション(使命)」のない会社も実在していないと思います。会社人として仕事をしていくうえで、ミッションが非常に大切です。ミッションは、もともとキリスト教の布教を任務として外国に派遣される人々を意味する言葉でしたが、現在はより一般的に「社会的使命」や「使命感」を意味するようになってきています。ミッション経営とは、社会について考えながら仕事をすることであると同時に、お客様のための仕事を通して社会に貢献することです。要するに、お客様の背後には社会があるという意識を持たなくてはなりません。
ただ、本書に登場する会社では、ある儀式が行われていたと知り、興味深く感じました。その会社の所在地は悪い神がいる場所だったのですが、霊能者によって「封じの儀式」が行われたそうです。結界をビルの中に作り、玄関ホールに花を飾って、それが急激に枯れたら、その場に一晩生の肉を供えます。また、毎月、社長の名前を書いた紙人形を作って屋上で燃やします。さらには、年の暮れには五寸の太さに編んだ縄を濡らし、全フロアの床を掃き清めます。そして、霊能者の貼った守り札は決して剥がさずに2年に1回取り替えます。このような奇妙な儀式を行う会社に対して、「儀式バカ一代」であるわたしは大いに興味をそそられました。ちなみに、わが社は「礼の社」を目指しており、さまざまな儀式を行っています。そして、わが社は実在します!